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「えっと……?夜城先輩、ですか?」
ここは何と答えるべきなのだろう。
棗ちゃんが、本当に心音先輩であるなら別に言ってもいいと思う。
でも何故、……何故棗ちゃんは、私に姉のことが嫌いかどうか聞いたのだろうか。
「そうそう。なんか、昨日敢えて避けてる、ような感じがしてな?」
聞けば姉の誘いを断る後輩なんて今までいなかったから気になった、と言う棗ちゃん。
__あそこで断ったのは間違いだった?
いやでも、あそこで断らなければ姉と一緒に食事をしなければならなかったのだから、断って姉にとっても私にとっても正解だったはずだ。
一人で悶々としていると、棗ちゃんがしゃがんだ状態で一歩、私に近づいた。
「わしさ、弥生のこと嫌いなんだ」
「……!」
口に両手を当てて、小声でそう言い放った。
「弥生が嫌い」この言葉を待っていた。
特に……、棗ちゃんは、姉の取り巻きの一人。
取り巻きから嫌いって言われるなんて、と一人にやつきそうになる。
「そうなんですね。……私も嫌いです」
今にも緩みそうな頬を無理やり正して、そう告げると、棗ちゃんは隠すことなくにたりと笑った。
へぇ、と一言零して、何か言おうとする彼女を遮って話を続ける。
「そういえば先輩、裏掲示板に行ってるんですか?」
聞くのは今しかないと、思い切って口に出す。
裏掲示板の話を学校でするのは、本当なら御法度なのだけれど、私も一応管理人の一人ではあるし大丈夫だと思う。爽に頼まれたことでもある。
「……Aちゃんは行っとるの?この話は学校でしちゃダメなはずだけど」
「知っています。でも、今に限っては問題ありませんよ」
私、管理者の一人なんです。
先程の棗ちゃんのように両手に口を当てて小声で言うと、心底驚いたような表情を見せた。
「なーんだ、そうなんや。ハッキングでもされたんかと思った。うん、行っとるよ」
「……名前は?」
「ここね。心に音って書いて、心音」
当たり。爽、合ってたよ。後は96猫さんかどうかの確認だけ。
「私は市原という名前です。昨日いた1年の一人」
あぁ、覚えとる。そんな声が返ってきた。
「それでですね……。昨日、歌い手かどうか質問されましたよね」
「……?うん」
「私あの時嘘を吐きました。私、棗ちゃんの言う通り歌い手なんです」
やっぱり!と嬉しそうな声が返ってきた。
その声は、今話していた声よりも低い__紛れもない、96猫さんの声だった。
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らむね - え…すこ← (2020年6月8日 22時) (レス) id: 9e28ad89d2 (このIDを非表示/違反報告)
りょうか@狂花水月(プロフ) - ゆーひさん» 忘れるわけがない笑笑 嬉しいって言ってくれると私もすごく嬉しいです◎ ありがと!!更新頑張ります(`・ω・´)b (2020年4月9日 17時) (レス) id: 2fccda524d (このIDを非表示/違反報告)
ゆーひ - よかった!覚えててもらえた!!笑 またりょうかの小説読めて嬉しい!更新頑張ってね! (2020年4月9日 14時) (レス) id: b9150210a3 (このIDを非表示/違反報告)
りょうか@狂花水月(プロフ) - ゆーひさん» え待ってゆーひ?!めっちゃ覚えてるよ……!!実は大好きな作者さんが最近復帰してて、それ読んだら私も復帰したくなっちゃったんだよね笑笑 ありがとうございます……(´;ω;`) (2020年4月8日 23時) (レス) id: 23902dfb1a (このIDを非表示/違反報告)
ゆーひ - なんとなく占ツクみてたら、復帰しててびっくりした!!私のこと覚えてるかな・・・?リメイク版も素敵でした♪ (2020年4月8日 21時) (レス) id: b9150210a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りょうか@狂花水月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/a812e7560b/
作成日時:2020年3月31日 13時