【悪女主】裏表二人【S.o.u】【リメイク版】

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待ちに待った昼休み。
いつもより浮かれた気分で騒がしい教室を後にした。

何せ、今日は屋上で姉か棗ちゃんか……もしくは、両者と会うという仕事がある。

姉と会うのは本意ではないが、昨日の裏掲示板の効果を見たい。
朝は泣いている振りをしている姉しか見ることができなかったから。

……まあ、朝あそこにいたのは、昨日の裏掲示板で校内新聞の存在を知ったからなのかもしれないが。
私が見たいのは、周りに対する態度の方だ。


それに、爽に頼まれたことでもあるけど、私も個人的に棗ちゃん＝96猫さん＝心音先輩の確証が欲しい。

本当に棗ちゃんが96猫さんなら、私も歌い手だということを明かすつもりでいる。

昨日嘘を吐いてしまったのは、あくまで一般人に知られたくなかっただけであって、相手が歌い手なら話は変わるのだ。

特に96猫さんは、Twitterで最近よく絡んでくれている。会ったことも、歌ってみたコラボをしたこともないのに、一回配信でコラボをしたら気に入ってくれたらしい。
それなのに、話さない理由が逆にないだろう、とも思う。



階段を上がって屋上の扉を開けると、昨日と同じ場所に、昨日と全く同じ面子の顔が見えた。
もちろん、姉も、棗ちゃんもいる。

あくまで自然に、そのグループの方へと歩いていくと、真っ先に姉の声が聞こえた。

「あっ！昨日の子だ〜！Aちゃんだっけ？」

＿＿昨日との変わりは特にない……？

私が妹だからか？
やはり、爽に対する態度しか変わらないのだろうか。

はい、合っていますよ。と返事をしようとすると、それに被せるようにして棗ちゃんが口を開いた。

「Aちゃん！！わしと一緒にお昼食べない？」
「……！もちろんです」

思わぬお誘いに、よし、と心の中でガッツポーズをする。

姉のことは棗ちゃんに少し聞けるかもしれないし、今はこっちが優先だと思った。

「よし、じゃあ、あっち行って食べよ〜」


じゃ、行ってくるね〜と、歩き出した棗ちゃんについて行くと、昨日の場所＿＿姉たちから死角になるところに来た。

棗ちゃんに促されて座ると、早速なんだけど……と口を開く。

急な深刻そうなその表情に思わず息をのんで、次の言葉を待った。



「Aちゃんってさ。弥生のこと、嫌いなの？」

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