【悪女主】裏表二人【S.o.u】【リメイク版】

・ ページ20

「ね、心音先輩って誰なの？」
「忘れた」
「管理者の特権で分かるんじゃないの？」

まあ、そうなんだけどね……と、背中から返事が返ってくる。
先程の会話からずっと、私たちの目線はモニターから動いていない。

話を聞くと、どうやら本名を知るには、リストを見ないといけないらしい。
裏掲示板全員の名前が書かれたリストの中から、見つけないといけないなのが面倒だ、と。

「爽ならもっと探しやすくできるんじゃ……？」
「後でそうしておくよ。とりあえず、心音先輩の名前を探す」

了解と短く返事をして、モニターに集中した。
未だ姉の返信はない。


その代わり＿＿。


心音ねー!どっちどっち〜?

心音先輩の挑発する書き込みがあった。

しばらくの間、誰からの書き込みもなかった。

そりゃそうだ。
皆、姉の返信を待っている。

そして待つこと数分。

弥生ごめん……これから私塾だから抜けるね!ばいばい〜!!

相当焦っているのが手に取るようにわかる。

何しろ、姉は私の知る限り塾には行っていない。

これはただの、逃げるための口実だ。

Lillieあーっ!夜城弥生逃げた!!

Lillie先輩もそう思ったらしい。


一般人に……しかも、画面越しの人に焦っていることがバレるだなんて。

珍しく詰めが甘い。
心音先輩に痛いところを突かれたのが予想外だったのか。


このまま行けば、いとも簡単に姉を潰すことができる。



でも＿＿




「それじゃあ、甘すぎる」



姉のことはゆっくりじわじわと、精神的に潰さないと意味がない。

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