第245話:相談 ページ9
「うーーーーーん……
んん〜〜〜〜〜〜〜???」
時は過ぎ、筋肉痛も治まった数日後の教室、朝。
「…どうかしたのか、水織」
頭を捻って考え事をしている私に、お隣さんが怪訝そうに声を掛けてくる。
「なんだ、そんな風に唸って。
何か悩み事か?俺で良ければ聞くが。」
「緑間さん……あの、悩みと言っていいのかも分からないんですが」
あからさまに悩む素振りをしておいてなんだけど、緑間さんから名乗り出てくれた申し出に有難く乗っからせてもらう。
「実は……、私、最近校内で凄く頻繁に声を掛けられていて。
ちょっと有名人になってしまいましたし、そういうものかなと思ってはいたんですが、ちょっと不思議というか。」
「不思議?」
「はい。その声を掛けてくるというのが、主に同じ学年、2年生の男子生徒で。それも、全く話したことのない、面識がない人達です。
パッと朝に廊下ですれ違う時に『おはよう、水織さん』とか、『水織さん元気?』とか……。私も知らない生徒から急に話し掛けられて驚いてしまって、とりあえず挨拶は返しはするんですけど。
その反応を含めて見られているような…からかわれているのかは分からないんですが、悪いことをされているわけでもないので……あちらからすれば「知ってる人」と思って話し掛けてきてるのかもしれないし…」
もだもだと話す私の話を、緑間さんは静かに聞いてくれている。
事実としては「挨拶されているだけ」でしかないから、困ってると言うのも変だし、すぐに解決すべき!みたいな大事な訳でもない。
だからこそ一人ではどうしたらいいか分からず、首を傾げているのだった。
「その男子生徒というのは毎回同じ人物なのか?」
「え?いえ……この人前にも挨拶されたな、ということはありましたけど、多分クラスとかもバラバラだと思います」
「知らない奴に話し掛けられて、会話は続くのか?」
「うーん…そもそもひと言返せば終わるような声の掛けられ方ですし…会話と呼べるようなものではないですね」
大抵そのままなんでもなかったように相手はすっと去っていくのだ。
まぁ挨拶ってそんなものでは?と言われてしまえばそうなんだけど、明らかに私と相手の温度が違うから、なんだかスカされている気分になってしまう。
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白虎 - 赤司くんはやっぱりカッコイイですね〜 (7月21日 10時) (レス) id: eab1ac402f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2022年4月19日 19時