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第237話:欠伸 ページ2

合宿の連休が明けて登校日の火曜。

本日も晴天なり、制服のジャケットの中に長袖シャツ、ベストを着てちょうどいいくらいの秋らしい気候である。


昨日帰ったあとは早めに眠りについたのだが、疲れのせいかまだ眠い。
全力で走ったりなんだりした後遺症、筋肉痛になった箇所を擦りながらゆっくりと進んでいた。


周りにそれほど人も居なくて、人目を気にせずふわぁ…と欠伸しながら校門を潜ると、そういう時に限って知った声が後ろから飛んでくる。


「おはよう。昨日はゆっくり眠れたか?」


「っふ!?…わぅ、あ、赤司さん。

おはようございます、」


途中で話しかけられたから変に欠伸が止まってしまった。
赤司さんはそれを見てクスリと笑みを零して横に並んでくる。
この人、間違いなくわざとである。
死角の少ない私の、目を瞑った瞬間をきっちり狙ってきている。


「ふふ、そんな恨めしい目で見ないで。
Aの後ろ姿が見えたけどいつもと髪型が違ったから、どう声を掛けようかタイミングを計っていただけなんだ。」


赤司さんの指が私の髪を指先で捕まえて、するりと撫でるように離した。

今日は私は背中まである髪を下ろして耳より上の部分を編み込み、ピンで留めている。
いつもは大抵ハーフアップで、編み込みなんて学校でやったことは一度もなかった。


「ここの、切られてしまった部分が目立ってしまって……」


とん、と編み込みの真ん中、こめかみの下あたりを指さして答える。眞鍋朝人に切られた髪ひと房のことだ。
ハーフアップでも隠せないこともないのだけど、…なんというか、まぁ、その。

単純にただ隠す為だけじゃなくて、普段と違う髪型にしようかなって。


あの誘拐事件のあとだからなんとなく後回しというか忘れてしまっていたけど、今日は赤司さんとの交際が公になって大騒ぎになった金曜日から初めての学校なのだ。

あの日はさつきちゃんに見た目を整えてもらって乗り切ったものの、頼りきりではこの先どうにもならない。
かといって私にまだ化粧とか難しいことは出来ないので、何か自分にできる変化を…と思ったわけだ。
実はボタンを外したりスカートの裾上げもやってみようかと一瞬思ったのだけど、何せ今は首元も脚も傷だらけで。
出来ることが髪くらいしかなかったのだけど。


「ああ、なるほどね。
いい考えだと思うよ。

経緯はともあれ恋人の前向きな変化は大歓迎だ。」

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白虎 - 赤司くんはやっぱりカッコイイですね〜 (7月21日 10時) (レス) id: eab1ac402f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mae | 作成日時:2022年4月19日 19時

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