【降谷 零】TIME OUTSIDE SERVICE【名探偵コナン】

Episode32.THERE IS HOPE ページ32

急いで荷物を取りに帰り、沖矢さんが運転するキャンピングカーに乗って子ども達とコナン君と私でキャンプに出発した。
ちなみにこのキャンピングカーは博士の友達から借りた物らしい。

私は助手席に座り沖矢さんの運転姿を見ると目が合い、何か話題…と頭の中で必死に考えた。

「あ…この前はありがとうございました」

沖矢さんと初めて会った時は怖い人に追いかけられた夜だった。
すごくドラマみたいな出会い方だ。

「いえ。無事で何よりです。可愛い方は何かと大変ですね」

何故かその言葉が懐かしい気がした。
そんな事をずっと前に安室さんから言われたからかな。
もう今となっては過去の事。

「そんな、たまたまですよ」

前は呂律が回らなくなるほど緊張して、うまく喋れなかったのに、今ではお世辞も軽くかわせるようになった。
きっと、彼がそばにいてくれたからだろうけど。

「Aさん」

後ろからコナン君の声がして振り向くと、子ども達はトランプに熱中のようだ。

「安室さんと別れたって本当？」
「うん。本当だよ」

コナン君は前から、安室さんの秘密を知っているんだと思っていたからもしかしたら理由も何となくわかるのかな。

「どうして？あんなに安室さん、Aさんのこと大事にしてたのに」

コナン君の目にはそう映っているいんだね。
そうだよね、彼には大切にしてもらっていたと思う。
第三者の目からと、当事者ではまた違う目線があるけど本当に幸せな日々だった。

「…私がわがままになっただけなの。安室さんの事を知りたくて、そうしたら彼から別れようって」
「安室さん話してくれなかったんだね」

私はコナン君の質問に頷くと、沖矢さんが

「コナン君、これ以上彼女に聞くのは酷ですよ」
「そうだね」
「いいの！話し相手がいるだけで本当に胸が軽くなるから」

そういえば、沖矢さんは安室さんの事を知っていそうな口ぶりだった事を思い出す。

「沖矢さんって安室さんとお知り合いですか？」
「まぁ友人ではないですが、知り合い程度には」

少し話を濁されたような気もするが、男の子ってそんなものなのかなと思って納得した。

「Aお姉さん！コナン君も！トランプしよう！」

歩美ちゃんが私とコナン君を呼び、沖矢さんも遊んであげてくださいと言うので子ども達とトランプを始める。
久々にこんなに笑って、安室さんの事を考えない時間を過ごし私は子ども達に心の中で感謝した。







THERE IS HOPE (希望はここに)

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