【歌 い 手】声が聞こえないあの子は何でも屋。Part.2

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演奏の後、練習が始まった。









まだセトリが分かんないから、とりあえず楽しく演奏してきますかー！みたいなノリで10曲ぐらい弾いてお開きになった。









そして、私は今、1人で家に帰っている。









それにしてもアリスさん、キーボード上手だったなぁ。









つい先程までの練習を思い出してにまっと頬が緩んでしまう。









スノーさんの歌声もとっても綺麗で落ち着く音だったし、とても人懐っこい方々だったから仲良くなれた。









最初はキラキラしていて近づきにくいかもとか思ったけど、これなら仲良くなれそう。
少しだけ歩みが早まって、マンションへの足取りが軽くなった気がした。









その時









私はぴたりと足を止めた。
高揚していた頭が一瞬で冷やされる。









いつもの無表情に戻って、私は少し歩いてみた。
………やっぱりそうだ。









私の靴音に被せるように歩いている音がある。
私が止まれば音も止まり、走れば向こうも走る。




まさか、ストーカー？









幸いマンションはこの角を曲がったすぐにある。
なるべく気づいていることを悟られないよう、平然と歩いて、私はマンションに帰った。









マンションのあかりが見えて、ほっとした瞬間。









『っ！？』









腕を強く引っ張られて、私は後ろに体制を崩した。
ぐらりと景色が歪んで、私は息を呑んだ。









ーーー

？side









あれ？と思ったのは本当に偶然だった。









友人に見せられた写真の中にいた女性が、目の前を通って行ったのだ。









つい、あとをつけてしまった。









声をかけたつもりが、どうやら聞こえていなかったようで、彼女は素通りしていってしまう。
つい、ストーカーかのようにあとをつけてしまっていた。









彼女は終始ご機嫌だったようで、小さな鼻歌が暗い路地に響いていた。
すごく、綺麗な音だった。









でも、ふとあることに気づいていた。
理解した時にはもう駆け出していた。









まずい、と思った。
このままでは彼女が……！









僕は大きく彼女の腕を引っ張った。









＊-＊-＊

お久しぶりです皆様！
これからまた更新してくので、長い目でご覧下さい！




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