それは初めて知らせたこと ページ30
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大はそう言ってへらりと笑った。
「……ま、まぁ、なんかキャラやないこと言ったわ。うわー、かっこわる…」
「うん。日々女の子を手玉にとってはその毒牙にかける大の言葉とは思えない。」
「相変わらず酷すぎひんか!?Aさん!?」
おどけてそう返してきた大と1拍置いて笑い合う。
ああやっぱり私はこの男が大好きだ、と改めて感じた。
確かにコイツはクズかもしれない。でも、何よりも、一緒にいてどうしようもなく楽しくて、自然と笑顔になってしまう存在は、私にとって彼しかいないんだ。
「まぁとにかく、な？お前はまずゆっくり横になって体調戻すんが先や。あーもうほら、冷たいうちに布団の上置くからシーツが濡れとるやんけ。」
呆れた顔で、でも楽しそうに笑いながら、大は枕元に間抜けな格好で落ちた氷袋を取る。その時でも、繋がれた手が離されなかったことに私は安堵した。
私と大を繋ぐ左手と右手。
私は彼の綺麗な指に自分の火照った指を絡ませ、ゆっくりと近づいた。
「ねぇ大」
キミは私のスーパーヒーロー。
辛い時にはいつもそばにいてくれて、私に無償の愛をくれる。困った時に話を聞いてくれた時も、メンタルがぼろぼろになった時も、どこまでも優しかったのは彼だった。
小学生の頃、放課後コンクリートの上で倒れた時も
中学の頃、友達ができるか不安でいっぱいだった時も
高校の頃、大喧嘩して私が彼と口をきかなかった時も
私だって、全部全部覚えてるよ。
我儘で、面倒な女でごめん。でもやっぱり私にはキミしかいないんだ。
今も、昔も、きっとこれからも。
「ん、なんや…＿ｯ!?」
ちょっぴり苦い煙草の味。
奪い取った眼鏡は私の右手の中に。
大は藍色の瞳をまん丸にして、驚きをそのまま顔に持ってきたみたい。
唇に触れたのは一瞬だ。でも何故か永遠にキスしてたみたいに感じる。例えるなら、私達を取り巻く世界だけ、1秒が1時間…ううん、いやもっと長い時間になっちゃったみたいに。
これは大が悪いんだ。
確かにあの時、体を触られた時の感覚は今でも夢に出てきては私を苦しませる。でも、その"上書き"を頼んで、悪い方向に…単に大の"女の子の1人"になるなんて、嫌だ。
だから、ちゅうぐらいなら、って思っただけなのに、きっとあの言い方だと勘違いしてる。
言ったでしょ、私は我儘な子なんだって。
ヴァージンはあげられなかったけど、セカンドだけは、絶対に、貴方へ。
嗚呼、体が熱い。
「大、好きだよ。」
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梅餅(プロフ) - ふわ丸さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて感謝の限りです！ (7月22日 11時) (
レス) id: 19098535e6 (このIDを非表示/違反報告)
ふわ丸(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白かったです！！！ (7月21日 18時) (レス) @page32 id: 3811a438d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅餅 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/12Saku111/
作成日時：2020年6月14日 17時
