知らなかったことを知れたこと ページ15
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久々に訪れた大の部屋は相変らず生活感が溢れていて、中には数人の見知った顔と数人の知らない顔があった。
ばっ、とソファから立ち上がった少年は、驚きの言葉と共に私の元へ駆け寄ってきた。
「身長伸びた？天くん」
「…いや、こいつの成長期は消えてますよAさん」
ゲーム機片手に半笑いで望が言う。
天くんこと天野呂太は、あからさまにイラッとして、相変わらずの大声で望に噛み付いた。
「うるさいねんお前は！」
「かははははは！はい雑魚乙ー」
「あくっそまじか！」
望の隣に座る細身の男性が悔しそうに声を上げる。
そんな様子を見ていると、ふと、テーブルに座っていた男性が目に入った。
その人は肩を少し竦めて笑う。とりあえず私も笑い返して、荷物と共にその人の反対側へ座った。
「勝手にお邪魔しちゃってすみません」
「いや、大丈夫っすよ。大先生…ってかこいつの幼馴染さんでしたっけ？」
隣の椅子が引かれる音がする。
横を見れば、ちょうど大が座るところだった。
「そうですね。いつも大がお世話になってます」
「いやいやこちらこそ」
温和な笑みを浮かべるその人。
えーっとこの声は……
「トントンさん？で合ってますか？」
私がそう尋ねると、男性は…トントンさんは少し照れたようにふわりと笑った。
ゲームの音と怒号や歓声に紛れて、トイレの水が流れる音がする。
「やっぱ分かるんすね…トントン言います」
「私は蒼園です」
テーブルを挟んでぺこぺこと頭を下げ合う。
ふふ…なんだかずっと聞いてたら眠たくなりそうなお声だなぁ。
そんなことを思っていれば、のそ、と誰かが部屋に入ってきた。
「お、お帰りシッマ」
「お、しまも居たんだ」
「おう……て、Aさんやん!?」
ボサボサの髪によれよれのTシャツを着ているくせに顔だけはいい、これまた大繋がりの昔馴染み、水嶋だ。
こんちゃー！と明るく笑ってしまはこちらにやってくる。
「なんやシッマも知り合いなん？」
「せやで！Aさんは俺のサッカー部のマネージャーやったし、大先生…あ、大先生って言ったらあかんか」
「あ、大丈夫そこらへんの事情は把握済み」
「おっけーっす」
「あぁそこ突っ込まんねんなお前」
大の一言に私は思わず笑いを零した。
大で遊ぶために乱入した飲み会だったけど、久々に知り合いと会えたし、それに、
私の知らない新しい″大の姿″を知れたし
結果はプラスマイナス大幅プラスってことで。
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梅餅(プロフ) - ふわ丸さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて感謝の限りです！ (7月22日 11時) (
レス) id: 19098535e6 (このIDを非表示/違反報告)
ふわ丸(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白かったです！！！ (7月21日 18時) (レス) @page32 id: 3811a438d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅餅 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/12Saku111/
作成日時：2020年6月14日 17時
