四角関係

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「雄登、私行かないと」



あくまでも冷静に、私を抱き留める雄登にそう告げる




『何処行くの？誰と会うの？』




後ろから弱々しく吐かれた彼の質問に答える事は出来なくて 「ごめん」と返す私




しびれを切らしたのか私の肩を掴んで雄登の方を向かせられれば次第に近付く雄登の顔





少し緩んだ手の力に 今しかない とその手を振り払い教室を去った







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『あれ、来るの遅かったね？』




走り着いた先は勿論彼に指定された図書室で、全くと言っていい程に人は少なく やっと見つけた人影に近付けば そこには抑えきれていない笑みが洩れる口許を手で抑える飛貴がいて





「ひ、だか」




胸に残る雄登への罪悪感を押し殺すように目の前にいる彼の名前を呼べば




『ふふ、なーに。 A 』


と満足そうに笑顔を向ける




「呼んだだけ」



そう返す私に 未だにこにこしたままの飛貴は私を壁へと追い込みぐいっと顔を寄せた




雄登では感じない胸の疼きがじわじわと広がって顔を背てしまう




だけど飛貴がそれを許すはずが無くて 顎を掴まれれば飛貴の方へと向かせられてしまって



『ねえ、俺ん家来ない？』




私の瞳を確りと捉えそう告げる彼に当然断る事は出来ず ゆっくりと首を縦に振った

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