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「にあ、って……。きんときのクラスの柊にあちゃん? フレンドリーでいい子じゃん。なんでよ?」
「え、俺も。確かにスキンシップは激しいかもしれんけど……」
なかむがあざとく(そうでもない)首を傾げる。
苦手ではあったけど、俺もそういうイメージがあったから、シャークんの言葉を不思議に思った。
「うん、多分そういうイメージなんだと思うけど、見かけによらないんだよ。友達に聞いたんだけどさ」
少しだけ声を潜めて、シャークんは囁くように言った。
「小学校の時。同じクラスの女子三人、カッターで刺したらしい——」
シャークんの言葉に耳を疑った。それはなかむも同じだったみたいで、間抜けにぽかんも口を開けっぱなしにしている。
まるで取り繕うようにしてなかむが言った。
「そっ、そんなことないよ! でもさ、それって噂じゃん? 本当かなんてわかんないはずだよ」
「同じ小学校だったっていう男子二人、女子一人が言ってたんだよ。見たっていってたし、確実だと思う」
シャークんは早口にそう言う。あの可愛らしい見た目の女の子がしたのか?
ちらりとなかむの方を見ると、よほど信じられなかったのか、ぼーっとしていた。
「なかむ?」
「……」
「なかむ!!」
「あっ、ごめん、……っ……にあちゃん……」
なかむは悔しそうに下を向く。
その瞳が——どこか、恋い焦がれるような瞳に見えたのは、気のせいじゃなかったはずだ。
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うい(プロフ) - あずきさん» お褒めのコメント嬉しいです。更新頑張るので、是非また来てくださいね。 (2022年9月23日 13時) (レス) id: a7df37f5cd (このIDを非表示/違反報告)
あずき - 面白いです~!!応援してますっ!! (2022年9月23日 13時) (レス) @page1 id: fed7a00a2d (このIDを非表示/違反報告)
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