貴方の腕の温もりが

温もり ここのそじ あまり ななつ ページ47

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泣きじゃくる私を 翼が哀しげに見つめる。




なんで、どうして翼が。




翼は誰からも好かれて、優しくて、素敵な男の子なのに。









「病気も、余命も嘘だって言ってよ・・・」









本当は全部演技で、騙されたでしょ？ って笑ってよ。




またいつもみたいに 悪戯っ子のように笑ってよ。




また引っ掛かったね、って笑ってよ。









「・・・彩。だから、言ったでしょ」









翼はなにかを堪えるような声で呟く。









「俺じゃ、幸せにできないから、って」









「泣かせちゃうから、って」









私はうつむき、唇を噛み締めた。




・・・翼は、今の事を見越して言っていたんだ。




こうなった時に 私を悲しませない為。




でも。









「・・・それでも、あのままでお別れなんてしたくなかった」









あのまま別れたままだったら。




別れた後に翼がいなくなった事を知ったら。




・・・それこそ、私はずっと後悔することになる。









「よく分からないままで終わりたくなかった・・・！」









私は顔をあげ、翼の瞳を見つめた。




あと１週間で何が出来る・・・？




残された時間で私が翼にしてあげられることって何・・・？









「あ、や・・・」









私はそっと、翼の綺麗な頬に触れる。




私に出来る事なんて 限られてる。









　









「これから、いっぱい一緒にいよう・・・？」









「二人でたくさん笑おう？」









　









翼に残された時間はたった１週間。




その間 泣いて過ごして終わり、なんて嫌だ。









　









「翼が泣いたら、私が涙を拭いてあげる」









「私が翼を抱き締めてあげる」









　









貴方から貰った、たくさんの愛と幸せ。




たくさんの温もりを 少しでも返してあげられるように。

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