貴方の腕の温もりが

温もり ここのそじ あまり みっつ ページ43

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バス停に着いた瞬間、私はバスから飛び出した。




翼は、翼の手術は。









「ハァッ、ハッ・・・」









走らないで下さい！ と言う声が微かに聞こえる。




しかし、歩いている暇なんてないんだ。









「た、すく・・・！」









病室のドアを素早く、静かに開けた。




中にはお母さんがベッド際に ひとりで立っている。









「・・・あら、彩ちゃん。こんにちは」









ゆっくりとこちらを向いたお母さん。




その目の周りは、赤く染まっていた。




え・・・









「翼は、翼の手術は・・・？」









一気に不安に駆られて側まで駆け寄る。




お母さんが泣くなんて。




こんなに弱ってしまうなんて。




そんなの、翼が・・・！









　









「大丈夫、手術は成功よ」









　









お母さんの優しげな声に、動きを止めた。




ゆっくりとお母さんを見上げて見つめる。









「ごめんなさいね、安心して泣いちゃったの」









そう言ってはにかむお母さんの顔を見て、胸を撫で下ろした。




よか、った・・・




力が抜けてその場にしゃがみこんでしまう。









「フフ、よっぽど不安だったのね」









お母さんは私の頭をポンポンと優しく撫でてくれた。




すると安心したのか涙が溢れてくる。




見られないように膝に顔を埋めると、笑い声が聞こえた。




とても優しい 笑い声が。









「フフフ、彩ちゃんも泣いちゃった」









お母さんはそれから私が泣き止むまで、ずっと頭を撫で続けてくれた。

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