貴方の腕の温もりが

温もり やそじ あまり ここのつ ページ39

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いくら足取りが重たくても、いつかは家に着いてしまう訳で。




いくら寝るのを遅らせても、明日は必ず来るもので。









家に着いた後 ゆっくりお風呂に入って ゆっくり歯を磨いても。




遅い時間になって、まだベッドに座っていても。




翌日の朝は 必ずやって来る。









「・・・ん」









いつの間にか寝てしまっていた身体を起こし、目を擦った。




時計を見ると まだ早い時間。









「朝、来ちゃった」









今日が翼の手術の日。




けど、これを乗り越えたら。




乗り越える事が出来たら・・・









　









・・・乗り越えられても。









　









まだ朦朧とする意識の中で生まれる邪念を振り払う。




ダメだ、しっかりしないと。




私が弱気になってどうするの。




大丈夫、これは呼吸器を取り付けるだけの手術だから。




難しい手術じゃないから。









「・・・まだ、未来はある」









成功したら、この先の未来もある。




まだ一緒にいられる。




私は、ただ信じて待つだけで良い。









「・・・よし」









頬をパチンと叩き、ベッドから立ち上がった。




時間もあるし 久しぶりに走ってこよう。




ここ最近は雨が続いて走れなかったから。









素早くジャージに着替え、シュシュで髪をまとめる。




よし、準備オッケイ。









「ちょっと走ってくる」









丁度起きてきたママに一言告げ、外に出た。




久々に感じる朝の空気。




少しひんやりとしていて心地いい。




しっかりと準備運動をしてから走り始めた。




リズムよく、けれどペース配分は考えて。









　









いつものコースを走りきって家に帰ると 丁度いいくらいの時間。




これから準備して学校行っても かなり余裕が生まれそうだ。




２階で制服に着替えてから朝食を食べる為に１階に降りる。




すると、テーブルには既に朝食が並んでいた。









　









「いただきます」









手を合わせてからママが用意してくれていたパンにかぶり付き、よく噛んで食べる。




いつもよりゆっくりめに食べても大丈夫だよね。









「ごちそうさまでした」









　









そうしてゆったりと食事を終え、学校に行く準備を始めた。

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