貴方の腕の温もりが

温もり やそじ あまり ななつ ページ37

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正解は、ない・・・？




お母さんのヒントに更に首を傾げた。




愛に正解はない。




じゃあ、愛って何？




困ってお母さんを見るも、それっきり口を閉じてしまった。




私は黙って考え込む。








愛には 色々な形がある。




家族の愛、恋人の愛、大切なものへの愛。




同じ愛でも形が、想いが違う。








さまざまな事を考えながら導いた結論。




それを抱えてお母さんに向き直った。









　









「・・・愛、は」









　









精一杯考えて捻り出した答え。




私が思う、愛。








　








　








「愛は、想いだと思います」








　








　








お母さんはしばらく黙っていたけれど、静かに口を開いた。









「・・・そう、ね」









私はドキドキしながら次の言葉を待つ。




もしかしたら、違ったのかもしれない。









「まぁ、大体そんな感じかしら」









少し違っていたようだけれど、ニュアンスは合っているみたいだった。




ホッと胸を撫で下ろして身体から力を抜く。









　









「愛に形は存在しないの」









　









お母さんが呟いた言葉に、私は顔をあげた。




私が思っていた事とは真逆の言葉。









「愛ってね、なんにでもなれるのよ」









「相手に力を与える事も出来るし、幸せにする事も出来る」









「愛をプレゼントで形に表す事も出来る」









お母さんの言葉は胸にストンと落ちてきた。




私が納得するように頷いていると、お母さんに微笑みかけられる。









　









「だから、愛には正解なんてないのよ」









「彩ちゃんの思う愛が、彩ちゃんにとっての正解」









「あくまでも、さっき私が話した事は私の思う愛だからね」









　









私はお母さんに首を振りながら微笑んだ。




お母さんの言う愛が正解だと思う。




自分の考えたものより数倍 納得出来るものだった。









「いえ、私もそう思います」









形はなくても、相手に伝える事が出来る。




形がなくても、相手の力になれる。




形なんてなくても、相手を幸せに出来る。





そっか。そうなんだ。








私はお礼を言って席を立った。




もうそろそろ良いぐらいの時間だ。









「ごめんね、急にこんな事聞いちゃって」









「愛は想い。良い言葉ね」









私はもう一度お礼を言い、玄関に向かった。

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