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温もり やそじ あまり ふたつ ページ32











「言ってくれなきゃ、分からない」









私はゆっくりと翼に向き直る。




翼は目線だけこっちに向けて私を見つめた。









「言葉にしないと伝わらないって、私も最近知ったんだ」









いつか奈子が言っていたんだ。









 









『お姉ちゃん、今なに考えてる?』




『知らない』




『ねぇ、お姉ちゃん怒ってるの?』




『知らない』




『お姉ちゃん!』




『・・・知らない』




『・・・お姉ちゃん、言ってくれなきゃ分かんないよ』




『奈子はお姉ちゃんじゃないから、分かんないよ』









 









「私は翼じゃないから、翼の事が分からない」









私は強く拳を握って翼を見つめる。




どうか、伝わって。









「翼の痛みも苦しみも、辛さも。何一つ分からない」









私達は、まだ間に合うから。




まだ変えられるから。









「そんな私でも、一つだけ分かる事があるよ」









私達は生きてるんだから。









「私は翼が大好きだって事」









何回でもやり直せるんだ。




翼は黙って私の話を聞いていた。




目をそらす事もせず、真剣に。




伝わったかは分からないけれど、言いたい事は全て言えた。




私はそれっきり口を閉じて翼を見つめる。









「・・・俺には、彩を幸せにする事はできない」









そんな事、ない。




私は今まで幸せだったよ。









「この先ずっとは一緒にいられない」









分かってる。




それでも私は翼がいい。









「・・・けど」









翼が僅かに微笑んだ。









 









「彩を、誰よりも愛してる自信はあるかな」









 









ポタリと、涙が一筋流れ落ちる。









「・・・バカ」









そっと翼の手をとり、キュッと握った。









「しょうがないから 彩のワガママ、聞いてあげる」









翼が優しく微笑み、私を見つめる。




私が握っていない方の手で涙を拭ってくれる。









「もう、こうなったら死ぬまで離れてあげない」









そう言って、翼は私の手を強く握り返した。

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にゃ〜 - アーヤと、翼のお母さんが、最後の最後まで翼を信じるところが感動しました! (1月8日 21時) (レス) @page50 id: 26a4d90e30 (このIDを非表示/違反報告)
みみー - 泣いちゃいました!読み終わった後なんかもうぼろくそに泣きました!作者様様へ、感動する話をありがとうです! (2021年3月24日 11時) (レス) id: 76382fa356 (このIDを非表示/違反報告)
ピュア - 感動しました! 色々なところで、泣きました (2021年1月5日 20時) (レス) id: 75738b8618 (このIDを非表示/違反報告)
yukko08(プロフ) - 翼が彩に抱きしめてと言ったところで泣きました 作者様に感謝です! (2020年5月4日 19時) (レス) id: 85514eea1d (このIDを非表示/違反報告)
K - リクエストを書いてもらえて嬉しいです。ありがとうございます。 (2019年9月6日 6時) (レス) id: 70bbe6910f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:smile | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Niko-hp/  
作成日時:2018年3月22日 15時

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