温もり いそじ あまり よっつ ページ4
*
「はぁっ・・・、ここ、が・・・」
目の前に建つ大きな家。
ここが、この家が・・・
「翼の、家・・・」
肩で息をして、近くの塀に寄りかかる。
少し呼吸を整えよう・・・
汚れるとか、そんな事は考えていなかった。
とにかく必死だったんだ。
「ふ、ぅ・・・」
呼吸が楽になったのを確認して身体を起こす。
ゆっくりとインターホンに近付いて腕を伸ばした。
ボタンを押そうと指を出す。
「は、ぁ・・・」
出した指が、震えていた。
なぜ、どうして。
ここまで来たのに。
傘をさすのも諦めて、泥が跳ねても必死に走って。
覚悟を決めて来たのに・・・
「ふっ、ぁ・・・うぁ・・・」
涙が溢れてくる。
嗚咽が漏れる。
・・・なんで、今更
今更、怖がってるの・・・?
もう逃げないって決めたでしょ。
もう離れないって決めたでしょ。
翼を信じきるって、決めたでしょ。
最後まで、そばに居ようって決めたでしょ・・・。
「ちゃんと、決めたのにっ・・・」
震える指を握りしめる。
止まれ、止まれ・・・
強く念じて手を離した。
・・・大丈夫。
なにも怖くない。
愛する人を信じるだけ。
愛する人のそばに居るだけ。
断られても、突き放されても。
ただ、翼を愛せば良い。
「怖く、ない・・・」
私はインターホンのボタンを押した。
翼のお母さんにちゃんと伝えよう。
“もう一度だけ、翼を信じるチャンスをください”
今度こそ、逃げない。
『はい』
インターホンから聞こえてくる綺麗な声。
病院でも聞いた、あの声。
「立花、です」
放課後、翼のもとへ向かう前に
『・・・彩、ちゃん?』
翼のお母さんと、しっかり話そう。
「はい。お話ししたい事があります」
私を信じてくれている翼のお母さんのためにも。
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にゃ〜 - アーヤと、翼のお母さんが、最後の最後まで翼を信じるところが感動しました! (1月8日 21時) (レス) @page50 id: 26a4d90e30 (このIDを非表示/違反報告)
みみー - 泣いちゃいました!読み終わった後なんかもうぼろくそに泣きました!作者様様へ、感動する話をありがとうです! (2021年3月24日 11時) (レス) id: 76382fa356 (このIDを非表示/違反報告)
ピュア - 感動しました! 色々なところで、泣きました (2021年1月5日 20時) (レス) id: 75738b8618 (このIDを非表示/違反報告)
yukko08(プロフ) - 翼が彩に抱きしめてと言ったところで泣きました 作者様に感謝です! (2020年5月4日 19時) (レス) id: 85514eea1d (このIDを非表示/違反報告)
K - リクエストを書いてもらえて嬉しいです。ありがとうございます。 (2019年9月6日 6時) (レス) id: 70bbe6910f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:smile | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Niko-hp/
作成日時:2018年3月22日 15時