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温もり ななそじ あまり ここのつ ページ29






必死に足を動かしながら、思い出す。




翼が私に本心を話してくれた回数を。




いつ? 何回? どんな表情で?




思い出そうとすればするほど実感した。









「・・・病気がバレる前、ほとんど、言ってないっ」









息が切れて苦しいけれど、そんなのどうでもいい。




自分がどれだけ翼にとって頼りなかったか。




どれだけ、頼れない相手だったか。









「・・・はぁっ、はぁ」









私はいつも翼に助けられてばかりで。




いつも翼に頼りきってばかりで。









「・・・っ、はぁ」









どれだけ、翼に甘えていたんだろう。









 









病院の中に入り、病棟の非常階段をかけ上がる。




エレベーターなんて待っていられない。




はやく、はやく、はやく。









「たす、くっ・・・」









のんびりしている時間はないんだ。




時間で解決なんてできないんだ。









翼には、時間がないんだから。









非常階段の重いドアを開け、廊下に飛び出した。




そこで誰かとぶつかりそうになる。









「わっ・・・!」




「おぉ・・・」









寸前でブレーキをかけ、謝ろうと顔をあげた。









「す、すみませ・・・」









「・・・アーヤ?」









見上げた先にあった顔は、よく知っている人物のもので。




謝罪の言葉よりも驚きの方が勝ってしまっていた。









「く、黒木君、なんで・・・」









誰も、この場所なんて知らないはずなのに。




いるはずないのに。




どうして、ここに。









「俺は知り合いの見舞い。アーヤは?」









なんだ、知り合いのお見舞いか。




少しホッとしたけれど、まだ安心はできない。




と、いうか。









「え、と。私は、家族のお見舞い、だよ」









・・・言えるはずがない。




翼のお見舞い、だなんて、口が裂けても言えない。




私の歯切れの悪い返事に首を傾げつつも黒木君は頷いた。









「・・・へぇ、そうなんだ」









どこか意味深な響きを含む声に、今度は私が首を傾げた。









 









「美門とはもう家族なんだ」









 









・・・え?




一瞬、黒木君の言葉の意味が理解できずに固まる。




その後、すぐに別の意味で固まった。









「ど、して・・・」









私はただ、呆然と黒木君を見る事しかできない。

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にゃ〜 - アーヤと、翼のお母さんが、最後の最後まで翼を信じるところが感動しました! (1月8日 21時) (レス) @page50 id: 26a4d90e30 (このIDを非表示/違反報告)
みみー - 泣いちゃいました!読み終わった後なんかもうぼろくそに泣きました!作者様様へ、感動する話をありがとうです! (2021年3月24日 11時) (レス) id: 76382fa356 (このIDを非表示/違反報告)
ピュア - 感動しました! 色々なところで、泣きました (2021年1月5日 20時) (レス) id: 75738b8618 (このIDを非表示/違反報告)
yukko08(プロフ) - 翼が彩に抱きしめてと言ったところで泣きました 作者様に感謝です! (2020年5月4日 19時) (レス) id: 85514eea1d (このIDを非表示/違反報告)
K - リクエストを書いてもらえて嬉しいです。ありがとうございます。 (2019年9月6日 6時) (レス) id: 70bbe6910f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:smile | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Niko-hp/  
作成日時:2018年3月22日 15時

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