貴方の腕の温もりは

温もり よそじ あまり ふたつ ページ42

＊




奈子は聞き終わった後、しばらくボーッとしていた。




やっぱり分からなかったかな・・・









「ふ〜ん」









私が奈子を見つめていると、急に頷き始める。




え・・・？









「そっか、そーゆー事ね」









奈子は一人で納得しているのか、頻りに頷いていた。




え、何。そーゆー事ってどーゆー事。




何も分からない私は、ただただ奈子を黙って見つめる。









「あのね、お姉ちゃん」









自己完結した奈子がこっちに向き直った。




説明してくれるらしい。









　









「その人がした事は、全部お姉ちゃんの為だよ」









　









・・・はい？




全く理解が出来ない。




翼の行動は、全部私の為・・・？









「でも、私の事が迷惑だって・・・」









“迷惑だから”




はっきりと言われたんだよ。









「そうでも言わないと、お姉ちゃんはまた病室に行っちゃうじゃん」









行っちゃうじゃん、って・・・




そりゃあそうでしょう。




私は何度も首を縦に振る。









「その人はお姉ちゃんに病室には来てほしくなかったんだってば」









だから、それが分からないのっ！




来てほしくない理由が全く分からない。









「えっと、なんて言えばいいんだろう・・・」









奈子は中々分からない私に必死に説明しようとしてくれる。




下を向いて考え込み始めた。









　









「ん〜と・・・あ、あれだ」









　









何か言葉を閃いたようで、勢いよく顔をあげる。









　









　









「愛だよ」









　









　









・・・は、ぁ？




愛？




なに、どういう事。




更に分からなくなって頭を抱える。









「もぉ、鈍いなぁ」









奈子が呆れたような声を出した。




悔しいけれど、何も言い返せない。









「だからぁ」









奈子が痺れを切らしたように口を開く。









「その人はお姉ちゃんに弱ってる自分を見せたくなかったんだと思うよ」









はぁ・・・




どうして見られたくなかったんだろう。









「弱ってる所を見せたら、お姉ちゃんに余計な心配かけちゃう」









余計な心配・・・？




私は更に首を傾げた。









「お姉ちゃんにたくさん迷惑かける事になるってこと！」









あぁ、なるほど。




私は奈子に頷いてOKサインを出す。

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