温もり よっつ ページ4
*
「な、に言って・・・」
一瞬、翼が何を言っているのか分からなかった。
“困らせてもいい?”なんて。
普段の翼なら、絶対そんな事は言わない。
悪戯程度では言うかもしれないけど、こんなに真剣には言わない。
スッと退いていくはずなんだ。
「ごめん。急にこんな事言って」
本当だよ。
いきなりどうしたの。
「でも、真剣に考えてほしい」
翼は、静かに私を見つめる。
「アーヤは、俺の事嫌い?」
「そんな事ない!」
嫌いなはずない。
「じゃあ、好き?」
そう聞かれると、答えられなくなってしまった。
嫌いじゃない。
けど、好きとも違う。
「分かんない?」
翼が私の考えを察したように言葉を続ける。
「アーヤは、俺と一緒にいて楽しい?」
「うん・・・」
翼といるのは、凄く楽しい。
だけどそこには、皆もいた。
「けど、皆といるときも同じくらい楽しいよ」
そう付け加えると、ため息が聞こえてきた。
「結局、同志止まりなのね・・・」
呻くような呟きが聞こえたのは、それの直後だった。
「え?」
思わず聞き返してしまう。
それくらい、重たい声だったから。
「いや、なんでもない」
そう言う翼の声も、まだ沈んでいて。
「ごめん、全部忘れて」
「じゃ、ね」
あれ、なにか・・・
なにか、おかしい。
翼が隣を通りすぎようとする。
「⎯⎯⎯ 待って!」
反射的に声をかけてしまった。
なぜかは分からない。
声をかけなければいけなく感じた。
「なーに?」
振り返った翼は、いつもの翼だった。
さっきの暗い翼ではない。
「あの、なにか、あったの・・・?」
無意識のうちに、そんな事を口走っていた。
息をつめて答えを待っていると、代わりに笑い声が返ってきた。
とても、乾いた笑い声。
「アーヤって、変なところで鋭いよね」
その声は、今にも崩れてしまいそうなほど、脆かった。
「た、すく・・・?」
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ミラゴン - もう、感動して涙が止まりません。こんなにも感動する話は、こんなにも涙が止まらない話は初めてです。改めて恋、友情、そして、命について、考えさせられるお話ですね。また更新されるのを心待ちにしています。 (2019年2月25日 20時) (レス) id: 5ed9be59f6 (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - ありがとうございます!では、載せますね。お返事ありがとうございます。 (2019年1月15日 20時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Kokone♪さん» Kokone♪様、初めまして。わぁ、お誘いいただきとても嬉しいです!全然構いませんよ。わざわざ報告していただきありがとうございます! (2019年1月15日 19時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - smireさん、はじめまして。私、kokone♪申します。こちらの作品を、『泣けるお話、集めてみました。【探偵チームKZ事件ノート】』という私の作品に載せたいのですが、よろしいでしょうか。本当に泣けるお話なので、是非とものせたいです。お返事、待っています。 (2019年1月15日 17時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
smile - クローバーさん» クローバーさま、コメントありがとうございます。時には更新をしなかったり、一度に大量更新したりと不規則でしたが、ついに続編までいけました…(汗) 応援ありがとうございます! (2018年3月27日 15時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:smile | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Niko-hp/
作成日時:2018年2月23日 18時