温もり はたち あまり やっつ ページ28
＊
私はお母さんを先生のいる部屋へ促し、頭を下げる。
翼のお母さんも深く頭を下げて、部屋へ入っていった。
私はしばらく廊下をさ迷って、ロビーにたどり着いた。
外はすっかり暗くなっていたが、帰る気力もない。
近くにあった椅子に腰掛けて、目を瞑った。
翼との思い出が、甦ってくる。
告白された時の事。
初めて手を繋いだ時の事。
抱き締められた時の事。
名前を呼ばれた時の事。
全部、幸せな思い出。
大切な、大切な思い出。
翼といるときの私は、いつも笑っていて。
いつも、幸せそうだった。
「はぁ・・・」
大きく息を吐き、翼のお母さんの言葉を思い出す。
“お願い。出来るだけ、あの子の側に、居てあげて・・・”
さっきは必死に返事をしたけれど、よく考えると不安になってくる。
翼が倒れたとき、私は何も出来なかった。
頭の中が真っ白になって、何も考えられなかった。
もしもあの時、お兄ちゃんがいなければ・・・
そう思うと、ゾッとする。
こんな私が、翼に何をしてあげられるんだろう。
どうやって支えていくんだろう。
しばらく、そんな事を繰り返し考えていた。
ふと腕時計を見ると、７時をさしている。
秀明はとっくに始まっている時間。
ママ、怒ってるだろうな・・・
ナーバスになりながらも、席を立った。
さすがにもう帰らないとダメな時間だ。
ふらつく足を無理矢理立たせて、ドアへ向かう。
とりあえずバスに乗って、駅まで行こう。
この病院がどこかも分からないため、バス停に向かおうと足を動かした。
「彩ちゃん・・・？」
声をかけられ、振り返ってみる。
「あ・・・」
そこには、翼のお母さんが立っていた。
「暗いのに、まだ居てくれたの」
そう言いながら、翼のお母さんはこっちへ向かって来る。
「良かったら、翼の所に寄ってくれない？ きっと喜ぶから」
え・・・
近くに来てから分かった。
お母さんの瞳の奥に、“お願い”という言葉が見える。
「分かり、ました」
帰る気が全くなかったので、お母さんの後ろについていった。
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ミラゴン - もう、感動して涙が止まりません。こんなにも感動する話は、こんなにも涙が止まらない話は初めてです。改めて恋、友情、そして、命について、考えさせられるお話ですね。また更新されるのを心待ちにしています。 (2019年2月25日 20時) (
レス) id: 5ed9be59f6 (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - ありがとうございます！では、載せますね。お返事ありがとうございます。 (2019年1月15日 20時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Kokone♪さん» Kokone♪様、初めまして。わぁ、お誘いいただきとても嬉しいです！全然構いませんよ。わざわざ報告していただきありがとうございます！ (2019年1月15日 19時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - smireさん、はじめまして。私、kokone♪申します。こちらの作品を、『泣けるお話、集めてみました。【探偵チームＫＺ事件ノート】』という私の作品に載せたいのですが、よろしいでしょうか。本当に泣けるお話なので、是非とものせたいです。お返事、待っています。 (2019年1月15日 17時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
smile - クローバーさん» クローバーさま、コメントありがとうございます。時には更新をしなかったり、一度に大量更新したりと不規則でしたが、ついに続編までいけました…(汗) 応援ありがとうございます！ (2018年3月27日 15時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：smile | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Niko-hp/
作成日時：2018年2月23日 18時
