貴方の腕の温もりは

温もり はたち あまり ななつ ページ27

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私はその言葉に、何度も頷いた。




言葉が喉に詰まって、出てこない。




返事をしなきゃいけないのに。




声を出さなきゃいけないのに。









ただ頷くなんて、誰にだって出来る。




だから翼のお母さんは、私の返事を聞きたいんだ。




私はお母さんに目をしっかりと見つめる。









　









「は、い・・・」









　









何とか喉からひねり出した返事は、酷く弱々しいものだった。




これじゃ、ダメだ。









「はい」









そう思ってもう一度、はっきりとした声で返事をする。




すると、翼のお母さんは安心したように頷いた。









「良かった・・・」









涙を流しながら微笑んでいる、翼のお母さん。




きっと、不安だったんだろう。




その不安を取り除こうと思い、さらに言葉を重ねる。









「私に出来る事なら、何でもやります」









翼はいつも、私を助けてくれた。









「翼を精一杯、支えます」









翼はいつも、私を支えてくれた。









「だからどうか、お母さんも私を頼ってください」









最後に優しく微笑んだ。




この言葉が嘘ではない事を示すために。




お母さんを、安心させるために。









　









「翼は、幸せ者ね・・・」









　








お母さんが、小さく呟いた。









　









「こんなに、良い子に愛されて」









　









翼のお母さんも、綺麗に微笑んだ。




私は首を横に振る。









「そんな事、ありません」









私は優しく、お母さんを抱き締める。









　









「私も、翼からたくさん幸せを貰いましたから」









　









腕に少しだけ力を込めた。









「たくさん、愛されましたから」









私は体を離し、お母さんを見つめて微笑む。









　









　









「私の方が、幸せ者です」

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