温もり とお あまり いつつ ページ15
*
翌日、かなりルンルンな気分で学校へ行く準備をする。
特にこれといったイベントはない。
でも私は、とても幸せだった。
また翼に会える!
そう思うだけで、胸が踊るんだ。
「行ってきます」
時間になり、玄関の扉を開ける。
今日はいつもより早めだ。
流石に朝練の時間は無理だけど、かなり早い方だと思う。
「あ・・・」
・・・嘘。
驚きのあまり、固まってしまった。
「ん、おはよ。アーヤ」
翼が、塀に寄っ掛かっていた。
なんでここに? 朝練は?
謎だらけで思考が乱れる。
「意外に早いんだね。まだ7時半だよ?」
いやいやいや。
「美門君。そっくりそのままお返しします」
一体いつから待ってたの・・・?
混乱しすぎて昔の呼び方に戻ってしまったが、気にしない。
「今日、朝練は? なんでここにいるの。いつから待ってたの?」
「ちょっと待って、落ち着いて」
翼は肩を震わせながら私を制する。
もう、笑い事じゃないってば。
バカにされたように感じ、そっぽを向く。
ふん!
「アーヤ?」
一通り笑って、翼が呼び掛けてくる。
でも、返事なんてしてやらない。
「なに、拗ねてんの」
声色だけで、からかいモードに入ったのが分かる。
私はそれを無視して、翼の前を通り過ぎた。
「あ、ちょっと待って」
待ってあげないから。
翼の声を無視し、ズンズン進んでいく。
「アーヤ!ごめんってば」
流石はHSのレギュラーだけあり、すぐに追い付かれた。
少し焦っているようで、ニヤけてはいなかった。
・・・もう少しだけ、続けてみようかな。
いつもの悪戯のお返しに。
そう思って更にスピードをあげると、翼が立ち止まった。
え、どうしたんだろ。
少しスピードをおとして歩く。
背中から翼の視線を感じる。
「・・・彩」
優しく、笑みを滲ませた声で囁かれた。
今、名前・・・
思わず立ち止まる。
幻聴とまで疑った。
「彩」
翼は、私の思いを見透かしたようにもう一度囁く。
「な、んですか」
甘い雰囲気に堪えきれなくなり、翼を振り返った。
「ちょっと待って。一緒に行こ」
翼は少しニヤけていたが、もう知らんぷりは続けられない。
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ミラゴン - もう、感動して涙が止まりません。こんなにも感動する話は、こんなにも涙が止まらない話は初めてです。改めて恋、友情、そして、命について、考えさせられるお話ですね。また更新されるのを心待ちにしています。 (2019年2月25日 20時) (レス) id: 5ed9be59f6 (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - ありがとうございます!では、載せますね。お返事ありがとうございます。 (2019年1月15日 20時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Kokone♪さん» Kokone♪様、初めまして。わぁ、お誘いいただきとても嬉しいです!全然構いませんよ。わざわざ報告していただきありがとうございます! (2019年1月15日 19時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - smireさん、はじめまして。私、kokone♪申します。こちらの作品を、『泣けるお話、集めてみました。【探偵チームKZ事件ノート】』という私の作品に載せたいのですが、よろしいでしょうか。本当に泣けるお話なので、是非とものせたいです。お返事、待っています。 (2019年1月15日 17時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
smile - クローバーさん» クローバーさま、コメントありがとうございます。時には更新をしなかったり、一度に大量更新したりと不規則でしたが、ついに続編までいけました…(汗) 応援ありがとうございます! (2018年3月27日 15時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:smile | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Niko-hp/
作成日時:2018年2月23日 18時