女の子 ページ49
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店主のおじさんが戻って来てしまっていた。
伸ばした手の先で発動した重力バリアでギリギリ彼の方へ向かっていた銃弾は止められるが、隙だらけの胴体に銃身とともに一発食らい、おじさんの方へ吹っ飛ばされた。
「か、っは……」
一瞬息が止まり、こみ上げてきた物と共に咳き込む。
意識が朦朧としていたが、尚もジイドを見上げる。
「そろそろ作之助が来てしまう。終わりにするぞ」
ジイドは立ち竦むおじさんに歩み寄り、躊躇なく肘鉄を入れ先に気絶させる。
そしてまた私に向き直り、歩いてくるのをただ見ていることしかできないでいると、後ろに見える階段から黒マントの集団と、激しく抵抗する子どもたちの姿が見えた。
前に此処へ来た時の記憶が蘇る。
上から子供の声がした。
はっとして左腕に力を込める。
よろめき乍らも立ち上がって、ジイドに向き合う。
「何する、気……?」
「貴女には関係のないことだ」
その言葉を聞いて、足を踏み出す。
私の右拳を、ジイドが受け止めていた。
「未だ戦えるのか」
次の瞬間、地面に叩きつけられている。
状況を把握しようと息を吸おうとするが、空気が肺に入ってこない。
霞んだ視界の中で最後に見たのは、車に押し込まれながら此方を見る女の子の、助けを乞うような大きな目だった。
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作者名:のーと。 | 作成日時:2018年10月1日 22時