援助要請 ページ9
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「って云うわけだな。判ったか?」
「いや判ったんですけど、ところどころ私を貶すのはやめていただけないかなと……」
とりあえず私に対する太宰さんっていう幹部の認識が莫迦だってのはこの数分で理解した。
今の話を聞いて、引っかかっている部分を指摘する。
「……というか、私は何で生きてるんですかね」
「は?」
流石はマフィア、ものすごい迫力で睨まれる。
え、なんで?
「手前覚えてねェのか」
「な、何をですか?」
完全に委縮しながら質問を質問で返す。
「なるほどね、異能発動は無意識だったのか。というか君、下を見給えよ。まだ気づかないのかい」
「下?」
ゆっくりと足元を見下ろす。
なるほど、混乱してたから気づかなかった。
足元にクレーターが。
……クレーターが(大事なことなので二回言った)
そういえば最近体重をはかっていなかったなあ。
完全に現実から逃げながら目線を戻す。
太宰幹部は残酷だった。
「君が遣ったんだよ、それ」
助けを求めるように中原さんに視線を移す。
「手前が遣った。……どっからどう見ても俺の異能だったが」
一瞬で目を逸らし、今度は石川さんとかいう人に違う答えを求めるも、にこにこと笑って絶望の科白を吐く。
「凄い音してたよ」
だめだ、くらくらしてきた。
目を瞑って頭を抱える。
こう言う時って泣けばいいのか叫べばいいのか判らなかったから、とりあえずしゃがみ込む。
今は生きてたとか異能がどうとかは関係なかった。
ここからだ、殺戮に囲まれた地獄のマフィアライフが始まったのは。
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作者名:のーと。 | 作成日時:2018年10月1日 22時