透明化 ページ49
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アジトをくまなく捜索する。
今回の殲滅目標「アポカリプス」には、ポートマフィアと同じように「三大幹部」なるものが存在する。
そのうちの一人、氷を操る異能を持つ藤城景一とその幹部補佐には、徳田さんがあたる。
残りのうち一人は詳細は不明だが闇に関する異能力者らしく、その幹部補佐とともに荘八さんがあたる。
そして最後の一人は何もわかっていないうえ一番の危険人物なので、応用の利く私があたる、というわけだ。
現時点でわかっている異能力者はこの五人だ。
残りの異能を持たない構成員は吉岡さんが片付けてくれる。
今日命日かも私。
任務のたび思ってることだけど今日こそ死ぬわ。
毎度毎度感じているのに一向に慣れない恐怖に震えながら、奥へと進む。
突然、並々ならぬ殺気を感じ、反射的に飛びのく。
が、そこには誰もいない。
……と、次の瞬間吹っ飛ばされるところまで吹っ飛ばされる。
勢いで口にたまった血を吐き出してしまってから、前を向く。
が、やはり誰もいない。
「透明化の異能力者…」
「ご名答。賢いね、お嬢ちゃん」
どこからか声が聞こえ、空気が震えたのを感じ、かわす。
「ふうん。可愛い女の子が来たと思えば、それだけじゃないようだ」
無駄口は聞かない、無駄話は聞き流す、無駄な動きはしない、これ鉄則。
私の異能力でコピーが可能なのは、他人に作用する異能力だけだ。
よって、透明化などの自身にしか作用しない異能力はコピーできない。
こうなってはやむを得ない。
「…異能力『他人の顔』:『汚れつちまつた悲しみに』」
このフロア空間全ての重力を一気に重くした。
同じフロアに味方がいないことを祈ろう。
「はっ?!おま、え、じゅ、りょ、くつか、い、の、なかは、ら…？」
「こんだけの重力をかけて喋ってるとは、大したもんじゃないですか？」
そう言ってさらに重力をかける。
中也さんだったらもっとかけられるのだろうが、私にはこれが体力的にも技術的にも限界である。
お願いだからこれでくたばってくれよ…。
そろそろ限界という時、暗がりの中に一つ、倒れている人の形が浮かび上がった。
重力操作は解かず、恐る恐る近づいてみると、白目をむいている。
「捕まえても大丈夫かしら」
ようやく重力操作を解き、そいつを浮かせると、思いっきり伸びをする。
向こうから結構な数の人の声がするので、そちらへ行ってみると、まあまあ予想していた通りの光景だった。
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作者名：のーと。 | 作成日時：2018年2月6日 18時
