スカウト ページ27
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旧国防軍施設にて
「太宰!」
「はいよ!」
入れ替わる最中、国木田君と目が合う。
勝負は、これからだ。
「今度は君が数字をくれるのかい?」
そう言って目の前の青年が異能力を発動させる。
が、当然ながら私には効かない。
「っ、馬鹿な!何故数字が刻印されない…?」
「残念ながら君の異能力はもう効かない。それと、相棒は荷運びに転職させた方がいい」
相手の顔に一発食らわせると、青年はあっけなく倒れた。
そのあと、国木田君たちも無事に爆破装置を解除できたようで、共に下に降り帰ろうとすると、向こうからタクシーが走ってくるのが見える。
そもそも旧国防軍施設に人が来ること自体不思議なのだが、そのタクシーから降りてきた人物を見て、驚くも納得せざるを得なかった。
国木田君と敦君は驚愕一色だが。
何せタクシーから降りてきたのはAちゃんなのだ。
「お前…なぜここに…?」
「ああ、国木田さん。ここに異能力者がいると聞いて駆け付けた次第です」
「学校は?」
「只今テスト期間中」
あまりに2人が驚いているのでおかしかったのだろう。
Aちゃんはくすくす笑いながらさっき私が殴ってのびている青年のもとへ歩みを進めた。
そして、おーい、などと言いながら青年をつんつん突いたりしている。
「お前、そいつから離れろ!そいつは…」
「あ、起きた」
青年が起きたようである。
「自分がだれかわかりますかー」
「君は…誰」
「私?私は……スカウトマンかな」
「スカウト?」
この中でAちゃんの言葉の意味が分かるのは私くらいか。
「私が率いてる組織に入りませんかってことです」
「…僕が君の下に入る?冗談だろ?」
「割と真面目に…何だこれ」
Aちゃんの足元に魔法陣のようなあの模様が現れる。
「危ないっ!」
「落ち着きたまえ、国木田君、敦君」
「これが落ち着いてられるか!」
その模様はAちゃんに吸い込まれるように渦を描いて消える。
否、事実吸い込まれているのだ。
「あんたもか…?」
「この異能力どうやって使うんですか?」
青年に数字を刻印させてそう問うてくるAちゃん。
「何?!」
「ああ、それはねAちゃん。こうさ」
指をはじいてみせると、Aちゃんもそれを真似する。
当然の如く青年は吹っ飛ぶ。
「え、ごめん」
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作者名:のーと。 | 作成日時:2018年2月6日 18時