座右の銘 ページ21
.
ここが殺人現場だとわかると、早いうちに退散しようと背を向けた。
…が、太宰さんに腕をつかまれ、帰ろうにも帰れない。
太宰さんが殺されたという美人さんの前で嘆いているのを白い目で見ながら、ご親切に貸してもらったタオルで濡れてしまった服やら頭やらをわしゃわしゃと拭いていると、新人お巡りさんの探偵ごっこが始まったらしい。
まあ60秒でこの事件を解決とは無理な話である。
乱歩さんとやらはできるらしいが。
申し訳ないが私は探偵社のメンツをあまりよく知らないのだ。
乱歩さんに急かされ、テンパるお巡りさん。
「あ、そうだ。最近山際先輩は、政治家の汚職疑惑と、ポートマフィアの活動を追ってました。確か、マフィアの報復の手口に似た殺し方があったはずです。もしかすると先輩は、捜査していたマフィアに殺されて…」
「違うよ」
おっとここで元マフィア幹部の反論が始まりました。
かばってくれてるのかしら(違う)
「ポートマフィアの報復の手口は身分証と同じで、細部まで、厳密に決められている。まず裏切り者に敷石を噛ませ、後頭部を蹴り、顎を破壊。激痛に悶える犠牲者をひっくり返し、胸に3発」
すげえ覚えてる。
「この手口はマフィアに似ているが、マフィアじゃない」
やっぱりかばってくれてるのかしら(違う)
「つまり…」
「犯人の偽装工作?」
「偽装のためだけに、遺骸に2発も撃つなんて…酷い」
3発だよお兄さん。
話を聞こう。
「ぶうーーー!!!!」
「ぶっ…?!」
「うぇっどっ?!」
びっくりしたじゃねえか。
あれか。
この前大きな音出したの乱歩さんか。
そうだろ。
しかもさっきから乱歩さんの言動を見ていると結構挑発的だ。
ほら刑事さん怒ってる。
怖いよ。
「何しろ僕の座右の銘は『僕が良ければすべてよし!』だからな!」
中島敦・座右の銘「生きているならいいじゃない」
太宰治・座右の銘「清く明るく元気な自 殺」
安部A・座右の銘「人が死ななきゃオールオーケー」
77人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:のーと。 | 作成日時:2018年2月6日 18時