ごん ページ15
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「芥川さーん」
おはようございます。
現在時刻午前7時半。
本日日曜日。
休日出勤でございます。
休日出勤でございます(二回目)
昨日懸賞首70億の消息をつかむというまあ普通に大手柄を挙げた代わりに帰宅時間1時、就寝時間2時半という代償を被った私にはだいぶ酷な時間だ。
「……ごん」
「安部です」
「どうかしたか」
「おい聞け」
ごん、とは芥川さんが私を呼ぶときの愛称(?)である。
4年半前からそう呼ばれ始めてずっと訂正し続けているのだが、全く届かない。
誰のせいかというと太宰さんのせいだ。
太宰さんが芥川さんに「この子の名前はごんだよ。名無しのごん子ちゃん」とか私が自己紹介する前に言うから?
太宰さんマジリスペクトな芥川さんはそれを信じてしまった。
まあ良く言えば一途だね、そういうところ大好きだよ芥川さん。
「今芥川さん、人虎の捕獲命じられてるでしょ?足取りがつかめましたよ」
「何?」
一気に目つきが鋭くなる芥川さん。
「どこにいる」
「武装探偵社。昨日、探偵社に勧誘されてました。今日にでも入社試験があるんじゃないんですかね」
「なぜその場で捕獲しなかった?」
「太宰さんがいたから」
即答した。
芥川さんは顔を歪めながらも納得したようで、そうか、と頷く。
そして、僕からも話があったところだ、と口を開く。
「なんでしょう」
「人虎捕獲に協力しろ」
「冗談がお上手ですこと」
芥川さんって他者に助け乞うの?
信頼してくれてるの?
あら嬉しい(多分違う)
「冗談ではない。協力しろ」
「…それ本気で言ってるんですか?」
「当然のこと」
「なぜ私?」
「暇だろう?」
「うん?」
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作者名:のーと。 | 作成日時:2018年2月6日 18時