嘘恋-ウソコイ-【BL】 (ページ4)

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2話ページ4

「……はぁぁぁぁ。先輩格好良すぎ、まじイケメンだわ」

俺の口から断末魔の叫びが。
手には、A先輩の写真。
体育祭かな、ハチマキ巻いててすっげぇ笑顔のやつ。周りに何人か女いるのが腹立つけど。

「まじ霖感謝。……これ1年前だよな? 」
「……そぉだけど。教室ではしー、だよ? 」

幼なじみの吐月霖が口元に手を当てる。
俺のキャラがバレないようにだろうけど。
大丈夫。端から見たら"オタクに絡んであげる神月君優しい"だから。
俺の神々しさに誰も近くまで来て話聞こうとはしないから。

「はいはい。……まぁ俺と先輩が付き合えたらお前の恋も応援してやるから」
「ホントぉ? ……うん、待ってるねぇ」

霖は頬を染め、頷いた。
コイツが中学生の頃からある人に憧れているのは知っている。……だからこの高校を選んだらしいし。
まぁ俺もあの人に会えたので、結果的にはOKなんだけど。

「……神月君!! ……と吐月君」

慌てて写真を隠す。
盗撮みたいな真似してるなんて噂が広まるのはごめんだ。

「……要さん……だっけ? どうしたの? 」

先程の声とは一転。女好みの甘いソプラノ声。
ほら、顔真っ赤にさせて。……バカみてぇ。
霖はおまけ、みたいな扱い? 鬱陶しい。

「今日ね、皆で何か食べに行こーって話してるんだけど。神月君来ない? 」

行く訳ねぇだろばぁか。
と心の中で舌をだし、中指をたてる。

「……あ、ごめぇん!! 今日予定入ってたぁ、また今度でい? 」
「う、うん!! 勿論!! 」

女なら"ぶりっ子""男好き"で通されそうな仕草も、俺だから様になる。
遠巻きに見てたクラスメートも顔真っ赤にさせてさぁ? 俺、男なんですけど。
馬鹿、馬鹿。ほんと、馬鹿ばっか。

「……霖、俺を癒して……」

女が居なくなったのを確認してから霖に抱きつく。

「ん、良いよぉ。……おいでぇ……」
「天使ぃ……」

霖は少し照れた素振り。……くそ、可愛いな。
霖のセーターに顔を埋める。石鹸の匂い。
……先輩の匂いはどんなだろう。
真面目そうだし、無臭かもしれない。
いや、案外お洒落でシトラスとか柑橘系? それとも渋めかな。……おじいちゃんみたいな匂いでも好き。
うん、俺先輩がおじいちゃんでも付き合えるよ。

「……ねぇ霖? 俺、先輩がおじいちゃんでも付き合える」
「話飛ぶねぇ。……先輩おじいちゃんだったら、深霜もおじいちゃんだよぉ? 」

それも良いかも。
2人ともおじいちゃんで、死ぬまでずっと一緒。
そんな俺の妄想は、チャイムによってかき消された。