Twinkle in the sky【ガスパー】 ページ17
油断をしていたのだ。あの日、己を拾った少女の“持病”を初めて目撃してからというもの、自分は彼女から片時も離れることはなかったのに。再度消えてしまった時に彼女を一人にしないためだったのに。あの日ほど己の存在しない臓器の全てが冷えきった日はない。故にガスパーは必ず彼女を、ライラ・イルハームを見つけると決めている。あんな思いをさせるのはまっぴら御免だった。
しかし近日はずっと彼女の存在感がはっきりとしていた。時の流れというものは大層厄介で、ガスパーからあの日の危機感をじわじわと盗んでいたようだ。今日という日に限って、ガスパーは散歩でもしようと腰を上げて外出してしまっていた。
ぶらぶらと歩いて辿り着いたのは、かつて初めてライラと出会ったあの湖。浅瀬に足を突っ込んで(無論靴は脱いだ。水浸しの靴を見て叱るのはライラで叱られるのは自分だ)小魚を驚かせる。この湖は本当に大きい、小魚なんてあの日の夕方に全て食い尽くしたと思っていたのに。ガスパーは自然に生きるものの再生の力のようなものを感じていた。
そんな、時だった。ざわりと全身の毛が逆立ったのは。背筋を悪寒が走ったのは。腰を据える屋敷へとかすかに伸ばした己の一部が音を拾ったのは。
湖水を大きく波打たせる程に、大地を深く抉る程に、ガスパーは猛烈な勢いで駆け出した。目指すは当然屋敷へである。確かに、明らかに、自分が今聞いたのは己を呼ぶライラの声だった。喉まで迫った冷たいなにかに掠れた、己の名前を呼ぶ声だった。
何かしらあれば自分の名前を呼べと彼女には再三言っている。つまりはライラは今、自分の名前をか細く呼ばねばならない事態に陥っている。あの日の喪失感が鮮烈に蘇ったガスパーは、ライラが消え始めているのだと半ば確信していた。
故に、自分は油断していたのだと。嵐のように進みながら己への怒気でガスパーは牙を剥き唸った。
Twinkle in the sky【ガスパー】→←ピカレスクロマン ―転―【ガスパー】
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烏衣(プロフ) - 三日月リンさん» 閲覧ありがとうございます！わざわざコメントして頂いたのに申し訳ないのですが、メリーさんとアンナだとクラスが異なりますのでルームメイトは遠慮させてください……その代わりに、よく二人でアクセサリーを見に行くような友人関係を結ばせては頂けないでしょうか…？ (2018年10月21日 18時) (
レス) id: e4c92fe861 (このIDを非表示/違反報告)
三日月リン - コメント失礼します！よろしければうちのメリーとアンナちゃんをルームメイトにしていただけますか？ (2018年10月7日 12時) (レス) id: ac270a254f (このIDを非表示/違反報告)
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