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■■ ページ8

「人生、そんなもんだよ。どんなに大切にしたって、どれだけ信頼を貰っていたって、なにかの拍子に報われない目に遭うんだ」
「さいあく」

なんてひどいことを言うのだろう。頑張ってきたこととか、毎日の出来事の共有とか、そういうものの力を万能と信じることが大切だと学ばせておいてこれだ。大人なんかこれだからあてにならない。真っ白なふわふわに潜り込み、そっと干渉を拒む。

「そんなこと言ってほしかったんじゃない」
「そもそも僕に言ってほしいことなんかひとつも無いんじゃない?」

その通りだ。だって自分はこの人にどうすればいいかなんて訊いてやしない。ただ、この部屋はこういう部屋だから、本当に信じていた相手に頼ってほしかった話を、あの子を助けたかったのに何一つできなかったわたしの話をしているのだ。答えのない問題を、この時間のあいだだけ触るのだ。

「生きてるってなに」
「死に際までそれの答えは出ないと思うなあ」

あの子は答えを出せたのだろうか。どんな答えだったとしても、きっと自分は気に入らないだろう。おそらく、ろくなものではないからだ。そのくらいはわかる。

あの子の答えが予想できてしまう結末に至ってしまったから、わたしは今も日常の送られるグラウンドに立つことができない。

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作者名:烏衣 | 作者ホームページ:Nothing  
作成日時:2018年11月18日 22時

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