もしもし冥途ちゃん！【文豪ストレイドッグス】

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『 御注文はどうされますか〜？ 』と間延びした声で聞かれたので「 おすすめで… 」と答えると短い返事が返された。


今は、店長さんと2人で作業をしている所を、見ているだけ。
本当にAさんを見ているだけでたのしい。表情がころころと変わる人だから見ていて飽きない。…本当に、可愛いなあ

思わずじい、と見すぎたのだろうか。ふとAさんとぱちりと目が合った。彼女のやわそうな口が動く。








「 っ！ 」








″ 見すぎ ″、間違いなく彼女は口をパクパクさせて僕にこう伝えた。

見られている事を知ってたのだろうか、それとも僕が普通に見過ぎたのだろうか、どちらにせよ、見ていたという事が彼女に伝わっているのが恥ずかしい。








『 私の顔に何か付いてた？ 』






「 いや！いいえ！ 」






『 ふふ、挙動不審 』








彼女の言葉と同時にテーブルに置かれたのは暖かいココア。それと綺麗に焼かれている焼き菓子。








『 敦くん甘いの好きかなって思って 』






「 え、あ…えと… 」








甘いのは好きだ。だけど、甘いものが好きな男は、女性から見たらどうなんだ。こんな所でAさんに幻滅されたくない。此処をどう乗り切るのが最適解なんだ…！？








『 …好きだよ 』






「 はひ！？！？ 」






『 甘いもの。私。好きなの 』






「 え！あ、あ！そ、そうなんですね…！ 」






『 だから敦くんにも食べて欲しいなって…ダメだった？ 』








こてん、と首を少し傾けて此方を覗くAさんに言葉が詰まる。この人はほんと、可愛いにも程がある。








「 …イタダキマス 」






『 ふふ、どうぞ 』








焼き菓子を一口たべる。ほろ、と口の中で優しい甘さが広がっていく。美味しい…！








『 美味しい？ 』






「 はい！ 」








よかった、とへにゃりと笑ったAさんの顔を間近で見てしまった。焼き菓子がぐ、と喉に詰まる。こ、この人はほんとに悪い人だ…可愛いは罪とは、誰が言ったのか。本当にその通りである。








『 …ね、もしかして、さっきの好きって、自分の事だと勘違いしちゃった？ 』






「 ング…ッ！…かっからかわないでください！！ 」






『 ふふふ、からかってないよ 』








照れ隠しでぱくぱくと焼き菓子を食べていると『 あ、それ私の手作りだよ 』と爆弾発言を投下され、今度こそ焼き菓子を喉に詰まらせて噎せてしまった。












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