来店 ページ16
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『 …その子は? 』
「 鏡花だ 」
『 きょうか 』
ある日の事、からんからんと来店を知らせる音が鳴り響いた。店に入ってきたのは気持ち変装をした芥川と、初めて見る女の子。小学生くらいだろうか、和服がとても似合う子というのが第一印象である
「 やつがれは今から野暮用がある 」
『 やぼよう 』
「 故に暫くの間、鏡花を見ておいてくれ 」
『 …はあ… 』
Aが力のない返事をした後、急がなければならない用事なのかそそくさと店を出ていった芥川。…彼女はこの状況をどう切り替えようか頭を必死に回していた
ちら、と鏡花と呼ばれた女の子を横目で見る。彼女の目に光はなく、先程からぴくりとも動かない
『 …ええと、はじめまして〜…鏡花ちゃん、であってます、よね? 』
「 … 」
『 う…あ、えと、私、冥途Aっていうんです、…め、冥途がメイドしてる〜なんちゃって…えへ… 』
「 … 」
『 おぎゃ… 』
Aは限界だった。既に涙が目からこぼれ落ちそうである。初対面の人にフルシカトなんてされたことは1度もなかったのだ。ちなみに初対面の人に、のクダリは敦含め2件目である
Aは肩をぐったり落とした。ど、どうすりゃいいんだ…。彼女は涙を一粒零した。その時だった
「 …私の名は鏡花。孤児だった。好きなものは、 」
Aの涙と同時に、鏡花の口が開いた。すらすらと自分の詳細を話していく鏡花。その話の中には何やら物騒な、思わず目を顰めてしまいそうな内容も含まれていたが、今のAはそれどころでは無かった
( しゃ、喋った〜ッ! )
ただただ、鏡花がやっと話してくれたことに対して感動している。長い道のりだった…と鼻をすする。そしてその勢いのまま今日の手をぎゅっと握った
「 っ! 」
『 鏡花ちゃん!えへ、やっと喋ってくれましたね!私はAです!お好きに呼んでくださいねっ 』
Aはお得意の見る人を虜にする笑顔( 本人無自覚 )を鏡花に向ける。真っ向からその笑顔を向けられた鏡花はしばらく固まってしまう。そんな彼女を放って、Aは今は買出し中でいない店長の変わりにカウンター席向こうの厨房に立った
『 鏡花ちゃん此処にどうぞ、私が特別甘いものお作り致しますからっ 』
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零桜 - すっ、好き…冥途ちゃん。はわ、可愛い。更新待ってます! (9月18日 8時) (レス) id: fe567fe024 (このIDを非表示/違反報告)
瀬羅 - アァ‼︎終わらんとってぇ〜‼︎ (2022年12月7日 21時) (レス) @page29 id: 3328415a9f (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと - 続き待ってますぅ!! (2022年6月9日 16時) (レス) @page29 id: 41724ba062 (このIDを非表示/違反報告)
アジフライのカス - え、え、え??か、可愛い…え?好き…お、?面白い…好き!!!!!! (2021年12月1日 17時) (レス) @page15 id: fb2299d8e5 (このIDを非表示/違反報告)
もちのあじ(プロフ) - オープニングが素敵すぎる…!!主人公も魅力的だし、これからが楽しみです!頑張ってください〜! (2021年11月23日 22時) (レス) @page3 id: f3a193ffbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷぷ | 作成日時:2021年11月22日 1時