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案の定、ミカはご立腹だが
タカヒロが上手くお酒を飲ませたおかげで
ベロベロに酔っ払っていた。
ごめん、今度たっぷり埋め合わせするからと
適当に甘く囁いたら、泥酔状態では
頭が回らないから拗ねながらも頷いてくれて、
またタカヒロにその場を任せることが出来た。
この穴は何がなんでも後で埋めないと。
思ったよりも早く戻ることが出来たと思ったのに、
彼女とアキトがいるところへ戻ると、
ふたりの距離の近さに、俺には未だ見せていない
種の微笑みに、どうにかなりそうだった。
「うーんと、何から話せばいいんですかね、」
「話したくないんやったら無理にとは言わへんよ？
でも話したら案外楽になるで？」
「……ただいま」
「あー、帰ってきてもうた。早ない？」
「……なんの話しとったん」
「ん？Aちゃんがぁ、何でこんな所を
こんな時間に通ったの？って話」
「で？」
「え？でって？」
「なんでアキトどかへんの」
「ジュンタくんたら酷いなあ、」
わかってニヤニヤして聞いてくるのも
ムカつくけど、Aって名前を俺より先に
知ってるのも、打ち解けてるのも本当に
ムカつくし、余裕なんて全くない。
どく気もなさそうだし、彼女も打ち解けた相手が
いた方がいいだろうと「彼女のため」を思って
話の続きに耳を傾けた…肩はぐっと抱き寄せてな。
その時に香った柔軟剤か
シャンプーの柔らかい香りが、またたまらなくて。
自分にまとわりついた女の香水の不自然な匂いが
嫌で仕方なくなった。
「ぁ、えと、ここに来ちゃったのは、か…いや、
友達と飲んでたんですけど、喧嘩しちゃって。」
「知らない街なのに、その場で解散に
なっちゃって、むしゃくしゃしてどこかで
飲み直そうと歩いていったらたどり着いてました｣
「そうやったんかあ、大変やったな？」
彼女の頭に手を伸ばそうとしたアキトに睨みを
効かせれば、両手の平をこちらに見せて
軽くあげて怖い怖いみたいな表情をする。
「今日は奢りやで？好きなの飲み？」
「…ありがとうございます、」
「ん、」
．
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作者名：ぼんぼん。
| 作成日時：2018年10月21日 0時
