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「ただいま……A?」
自分の家に帰ったけれど、スリッパをパタパタ
鳴らして「おかえり」と迎えてくれる彼女の姿が
見えなくて不思議に思いリビングへ入ると、
ダイニングテーブルに突っ伏せて眠っていた。
「もう、あかんやん、」
確かにブランケットをかけているけれど、
心配性な俺からしたら全然薄着で。
「A、A?」
「んん、あ、じゅんたくん、」
「ん、ただいま?」
「おかえりなさい…私てば、寝ちゃった」
「ううん、お待たせしました。
ラジオもうめちゃくちゃ驚いたで?」
「ふふ、照史くんと作戦したかいあったなあ」
「……なにそれ、なんか妬けるわ」
「なんでよ〜?」
「俺の知らんところで、
ふたりが仲良くしてるって嫌や、」
「何も無いよ?」
「じゃなきゃ困るわ、」
「っんん、」
彼女の血色のいい唇を捉えて、
久々の感触に勢いが止まらなくなる。
とんとんと肩を押されて、
ようやく名残惜しく唇を離す。
「ごめん、つい、」
「ね、淳太くん」
「んー?」
「ぎゅって抱きしめて?」
「お安い御用」
彼女の細い腕を引いて俺の腕の中に閉じ込める。
絶対に離さない、泣かせないと誓いながら。
「……本当はずっと寂しかった。
会いたくて会いたくて仕方なかった」
「うん、」
「顔が見たくて、声が聞きたくて、」
「…ほんまに、ごめんな。」
「でも今日こうやって会えてよかった」
「おん、俺も。」
「これからも、さ?いろんな思いAにさせて
まうと思う、どうしても。でも、ずっと隣で
笑って、俺を支えてくれませんか」
「ふふ、今更何?当たり前でしょ」
「ありがとう、」
「ん。淳太くん、お誕生日おめでとう」
「ずっとずっと愛してます、」
「なんなんもう、そんなん俺やって、」
「A、愛してるで」
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作者名:ぼんぼん。 | 作成日時:2018年10月21日 0時