嫉妬 ページ5
『さとる〜』
「……」
『…さーとる』
「……」
可笑しい。家をうろつきながらさとるの名を呼ぶものの、いつものような元気な返事が一切ない。やっぱり今朝のあれで機嫌悪いのかな、と溜息。
『さとる〜、もうテレビ消したからさ』
「……にゃん」
そろり、足音を消してやっと布団の中からもぞりと姿を現したさとるを優しく撫でる。
『私がテレビに出てた猫に夢中だったから拗ねちゃったの?』
「ふに“、」
『あー、こらこら。引っ掻かないの。』
ふい、と顔を背けるさとるをつんつんと指を使って優しく突いてやれば、嫌そうな声と共に軽く引っ掻かれる。地味に痛い。
『ごめんごめん。でもさとるが1番だよ?さとるに敵う猫見たことない。』
「……」
『さとるがうちの子で良かったって思ってるよ。』
「……」
『さとる可愛いなあ、撫でさせてくれないかなあ』
「…に、」
撫でてもいいぞと言わんばかりにごろんとお腹を見せるさとる。単純か、と突っ込みたいところだけれど可愛すぎる。
ブラッシングのお陰がふっわふわなお腹をもふもふもふと撫でてやれば、気持ち良いのかしばらくは喉を鳴らして撫でさせてくれた。
暫くして、すくりと立ち上がったかと思うと私のことをじっと見つめる。
『…なあに、』
「なぁん」
『……くる?』
生憎猫語は分からない。膝を優しくとんとんと叩けば、満足気にそろりと乗ってきた。なんなの、この可愛さ。視線を落とせば白い毛玉が丸まってる。
『…あー、可愛い。』
ぱしゃり。スマホのカメラで写真を撮る。さとるが家に来て数日。既に写真は100をゆうに超えて居るのだが。
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『さとる、私そろそろトイレ行きたいな』
「ふ、なぁん、」
『何その顔。……分かったよもう少しだけ我慢するよ。』
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作者名:追立 | 作成日時:2021年1月1日 18時