きゅうにんめ【9-1】 ページ29
きゅうにんめはきゅうけつき?
you side
『…って感じで。一時はどうなるかと思いましたけど…』
「今じゃあすっかり仲良し、ですか?」
『いや、とりやいろちゃんみたいにずっとべったりなわけじゃないですし、ななさんみたいにしつこ…ある時だけ賑やかなわけでは無いですから』
「そうですか、でもそれが彼なりの距離の取り方なんでしょうね」
『はい、他のみんなもそれぞれ距離があるので居心地はやっぱり悪くないみたいですし』
「それならよかった」
そう言ってホッとしたような雰囲気になった店長は、彼等のお父さんかお母さんの様に思えて仕方なかった。
「そういえば…お仕事は落ち着きました?」
『あぁ、かなり落ち着きましたよ。たまに忙しくなる時はありますけど、それでもまだあの時期よりは全然いい方ですね』
そういえば、最近しっかりしたご飯を食べられていないかもしれない。いつもサクッと作れるものばかりになってしまっている。
『…実家から送られてきた野菜、食べなきゃなぁ…』
そう、ポソリと呟いたのが店長に聞こえていたらしい。
「…野菜を沢山食べる子、お連れしましょうか」
『…え?』
「ちょっとお待ちくださいね」
そう言って後ろへと消えた店長。
数分後に持ってきたものはいつもの瓶で。
「こちらが九血鬼の瓶詰めです。詰めたのは一週間ほど前ですね。この子を傷めないよう綿を詰めています」
私がそっとその球形の瓶を手に取ると、瓶の中で小さく震えているのが見えた。
『…怖くないよ』
そう呟いてコツと瓶を鳴らす。
すると、少し表情が和らいだ
気がした。
「この子が瓶から出たら、トマトを沢山あげてくださいね。この子の口からも言われると思いますが」
『あ、はい…』
ちらりとみた瓶から、じっとこちらを見つめる綺麗な赤い目が。
『…綺麗、だね』
そう伝え、彼女?彼?に微笑む。
すると、恐る恐るだが、向こうもゆるりと微笑んでくれた。
「…Aさん、こちらを。」
『あ、あぁ…ありがとう、ございます…』
「…仲良く、なれそうですか?」
『あ、はい、なんとか』
「そうですか、大切にしてあげてくださいね」
『はい』
この子と仲良くなれたらいいな
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汀(プロフ) - すぷらさん» こちらも沢山勉強させて頂きました…!!これからも更新楽しみにしています!!応援しています!! (2018年9月26日 22時) (レス) id: b7a2a1a016 (このIDを非表示/違反報告)
すぷら - !!見られていたなんて恥ずかしいです!!汀さんの文から勉強してもっと精進させていただきます!! (2018年9月26日 22時) (レス) id: e340ba7d83 (このIDを非表示/違反報告)
汀(プロフ) - すぷらさん» 返信が遅くなってしまいすみません!とても嬉しいお言葉をありがとうございます!実は私もこっそりすぷらさんの作品を拝見しており、モチベーションを保つひとつになっていました。本当にありがとうございました!!ぜひ次作もよろしくお願い致します!! (2018年9月26日 1時) (レス) id: b7a2a1a016 (このIDを非表示/違反報告)
すぷら - 【追記】 汀さんの作品の更新はもはや私の作品の更新のモチベーションになっていて違う方向でもとても力を貸していただきました(笑)ありがとうございます! (2018年9月24日 20時) (レス) id: e340ba7d83 (このIDを非表示/違反報告)
すぷら - 完結、そして内定おめでとうこざいます。汀さんの作品はとっても素敵で大好きです。これからも汀さんの作品を読ませていただきます。お疲れ様でした。 (2018年9月24日 20時) (レス) id: e340ba7d83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汀 | 作成日時:2018年7月16日 20時