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「え、終わらない……」
私は絶望した。友情愛や信頼云々の某文豪小説の書き出しをもじってみたが、これは冗談抜きでやばい。
あれから体感にして四十分ほどたったはずなのに、またお目当てにたどり着けていないのだ。周りにある箱を片っ端から開けていったら出てくるだろうぐらいに思っていたものの、開けれていない箱はまだまだある。
どこかの少年漫画の主人公みたく鋼の精神力を持ち合わせていない私は、今にもポッキリ折れそうだ。でもこのまま辞めてしまったら、私は彼の片棒すら担げないのだと思い出す。
突然だが、私はできることよりできないことの方がずっと多い。数え上げれば、片手でさえ余ってしまうほどに。だから彼の悩みを探っても、私が解決できはしないことは理解している。けど誰かに話すことで、理解してくれる人がいると感じることで、心に抱えているものが軽くなることを私は知っている。
長い付き合いになるのだ。一緒に悩んで、一緒に背負いたいじゃないか。
そうだ、そのために早く起きて、ここに籠っているんだった。ふいに彼の顔がよぎって、あの人なら諦めるどころかこの状況を楽しんでしまうのだろうか、と考える。
「よしもうちょっと頑張るか」
彼は私に意地悪する。驚かせてきたり、苦手な虫を近づけてきたりして、私の反応を楽しむといういい性格をしている。
その反面、何かあった時には一番に助けてくれて、傍で気が済むまで話を聞いてくれる。だからこそ彼は質が悪い。今までがそうであったように、これからも私は何があっても彼を憎めはしないのだ。
ところで、これらの箱を開けていくうちに分かったのだが、どうやら短冊の思い出は去年今年だけを取っておいたのではなかったらしく一昨年やその前のも見つかった。懐かしい。
その他にもボードゲームや野菜の種の分類分けにも使っていたようで、ご丁寧にラベルが貼られたものもあったが。つまりは永延、記憶にある短冊を撥ねながら記憶にないのを探すという、不確かで曖昧な根気のいる作業だった。
だんだんと痛くなってくる頭と酷使する目を時々休めながらも、手を止めないまま確認していった。
「あれ、これ……」
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