憧れは憧れで終わるべき【d!】 (ページ2)

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これが私の幼馴染、シャオロンだ。勿論これは渾名。本名は、『椎名沙織(しいなさお)』

可愛い名前だね、とよく言われるらしいけど、本人にそんなことを言ったら冷ややかな目と罵倒を浴びせられる…らしい。私はそんなことされたことないからわからないけど。

「なぁ、大先生がまた新しい女連れてきたんよ、」

「そういやぁロボロが最近身長伸びたって騒いどってな？」

コロコロ変わる会話に、適当に相槌を打った。

無駄話と世間話で一通り会話が落ち着けば、電話を切る。

なんだか少しさっきのことを忘れられた気がする、なんて考えたせいで思い出した。また心のもやもやが増えていく。

今度こそスマホを鞄にしまって、肩にかける。

はぁ、声にならない溜息が、私の中で木霊する。

気づいた時には家に着いていた。カチャリ、音を鳴らしてドアノブを捻り、家内に入る。

今では珍しい洋風な我家は、床に足をつけると、ギィ、という古い音がする。

玄関から入って目の前にある階段で二階に上がって、自分の部屋に入って鍵をかければ、そこだけは、自分しかいない空間だ。

ベッドの上に寝っ転がって、しばらくそのままでいた。

ハッとして、提出期限が明日までの宿題の写真を撮って、LINEでシャオロンに送る。

そうすれば、すぐに「ありがとう」というスタンプが送られてくる。

それに反応して、「どういたしまして」の意味を込めて、お辞儀のスタンプを送った。

漫画や夢小説でよくある、見返してやる、の気持ちは持てなかった。

まぁ多少はあるものの、行動に出そうという気持ちには、なれなかった。

理由は簡単だ。きっと、私のことなのだから、面倒くさい、こういう理由だろう。

そもそも自分が自分で自分の理由を探すのは訳がわからないが、多分重度のめんどくさがりの月宮Aのことだ。面倒だから、そんな一言であることは間違いない。

そんなことを思いながら、学園の裏掲示板、とやらをチラチラ見ている。

『はぇ、』

ふとして開いた一つの掲示板に、一枚の画像が載せられていた。

サラサラな真っ白な髪に、くっきりとした、大きな目。

「この人みたいに、なりたい」

そう思った、夕方だった。

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