26.教室の片隅にて ページ49
キーンコーンカーンコーン。
チャイムと同時に号令をして、先生が教室から出て行くのを見て。机の上の教科書とノートを纏めて机の中に入れる。
周りのクラスメイトは今日の番組が楽しみだとかこの前のラップバトルは見たかとか楽しそうに話していた。
今日は一郎はいない。まあ基本学校に来たり来なかったりする奴だけど。私を学校まで送って自分は登校しない、なんて今じゃ珍しくもなかった。
あと一時限授業を受ければ帰れる。なにせクラスメイトとも打ち解けてない今日この頃、クラスにいることになかなか苦痛を感じている現状。
…………なにより視線が痛い。あの子今日も一人だよ、いつも一人だよね、くすくす。とかよくクラスの女子が囁いてるのを聞く。そう、聞こえてんだよこっちは。一人じゃいけないのかしらね!?
ため息混じりに次の授業の教科書を机に積んですぐ、ぎぃ、と鳴いたのは自分の前の席の椅子。視線をやれば、前の席のそいつは私の机に頬杖をついてにまにまと私を見ていた。腐れ縁のそいつは、口に棒突きキャンディを咥えてにこりと笑んだ。
そしてこれはお約束。
私に対してこうのたまうのだ。
「相変わらずあんた、人と一線引いてるよねぇ」
「……前から言ってると思うけど、関係ないでしょ」
「冷た〜い。そんなんだからお友達できないんだよぉ?」
「あ、なるほど。喧嘩をお売りになっていらっしゃる。言い値で買おうか? なんならお釣りなんていらないぐらいなんだけど?」
「なにそれお釣りが出るぐらい殴るってこと? 待って待ってごめんごめん謝るから椅子蹴るのやめ、やめてってバランス崩すから椅子の足の位置がずれるからっ」
そいつが座る椅子の足を容赦なく蹴れば慌てたように謝って来た。椅子を傾けて私の方を向いているのだから、正直足蹴ってバランス崩してそのまま無様にお倒れいただければ幸いですお客様って感じ。
「いやいや聞いてよ聞いてって。気づいたことがあるんだってば」
「へえ? でも残念でした、私は気づいてない。はいこの話は終わり」
「なにその理屈。横暴だ〜……」
蹴るのをやめてそいつに呆れ顔を浮かべても効果はなかったらしい。そのニマニマ顔腹立つからやめろや。
775人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユズヒ(プロフ) - 夢華さん» うおおおおおすみませんご指摘ありがとうございます!!修正いたしました……!! (2019年2月17日 0時) (レス) id: 5bd3021ccb (このIDを非表示/違反報告)
夢華 - 一二三の苗字『奘』じゃなくて『弉』ですよ!因みに読みは『そう』です! (2019年2月16日 20時) (レス) id: ceff9b5b24 (このIDを非表示/違反報告)
luinn - 内容は面白いのに過去の(前世の記憶持ち)話があるから面白くなくなった。 (2018年9月23日 19時) (レス) id: e037ff0c35 (このIDを非表示/違反報告)
きら(プロフ) - ユズヒさん» ありがとうございます!可愛い動物を前に可愛いしか言えなくなるのわかります...(語彙力の低下)一郎くんからのナデナデも最高でした!!ありがとうございますした!またリクエストの機会がありましたらリクエストさせていただきます!! (2018年8月4日 8時) (レス) id: 9a328a9f62 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - きらさん» お待たせ致しました、リクエスト作品が出来上がりましたのでお知らせ致します。ペットを世話する話、というよりかはペットをひたすら可愛いと言い続ける話になってしまいました……なぜだ……。リクエストありがとうございました! (2018年8月4日 2時) (レス) id: 5bd3021ccb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2018年6月29日 23時