【ヒプノシスマイク】大人びた幼馴染 2nd Album

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分かりやすく簡単に言うと焦げた。
幸せな匂いが焦げ臭くなった瞬間やべぇと動いたけど時すでに遅し。あんなに気合い入れて作った生地は、表面が焦げて人に出せるものではなくなっていた。なんたる不覚。余熱まで完璧にしたのに、まさか温度を間違えているとは。

なんとか焦げた部分をとり除いたものの、さすがにこれは持っていけないなと口元を引き攣らせた。見た目が悪いにも程があるし、しかもこれは元々お礼として作ったもの。あかん。これ持って行ったらあかんやつや。


でもまあさすがは私。味は完璧だった。めっちゃ美味い。けれどさすがにこの量は一人じゃ食べきれないし、困ったなぁと頭を悩ませていたら。
ふと、シブヤにいるギャンブラーの顔が思い浮かんだ。


そんなこんなでここにいる。帝統さんは私の中じゃ残飯処理係のポジションにいるらしい。自分で思っといてあれだがなんて失礼なんだ。
けど、なんやかんやで公園でまた行き倒れてるこの人もこの人だな。


「っはー、食った食った！ ごっそさん！」

「はーい、おそまつさまでしたー」


満足そうな笑顔を浮かべる彼に笑ってケーキを詰めていたタッパーを回収。ついでにと持ってきた水筒から付属のコップに紅茶を注いで渡す。


「お、悪ぃな」

「いーえーこちらこそ。助かりました」


笑顔で美味しそうに食べてくれて本当にありがたい。失敗したけど作ってよかった。失敗したけど。
タッパーをバッグにしまって公園を眺めると、さすが平日の午前中……っても11時ぐらいだけど人が少ない。散歩しているお婆さんとか遊びに来てる親子とか。
……ぼーっと空眺めてるサラリーマンは見ないことにした。あの人は今休憩中なんだよきっと。


「今日はギャンブルしないんですか」

「するもなにも、できねぇんだよ」

「できない？」

「昨日手持ちがすっからかんになっちまって……」

「あー……」

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