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「…………えっ?」
思わず山を縋るように見つめる。
山はもう日を隠して暗くなっていた。
ごーん、ごーん、ごーん。
奥で六時を告げる鐘の音が鳴る。
私は思わずCADを握りしめてじっと山を見る。
「!!……また」
今のは絶対、確実に今想子と何かわからないもの―――さしずめ霊子が揺れた。
そして今、それは現在進行形となる。
今、はっきりと魔法エネルギーが揺れ続けている。
しかも、あんなに山と離れているのにも関わらず、はっきりと光が見えて感じることができるほどに、大きな魔法エネルギーの波が。
あんな量、見たことがない。
もしかして、魔法エネルギーの穴!
もう考えている暇はなかった。
ダッシュで山に向かって走ろうとする。
「待って下さい、山に入るのは危険です」
するとその室伏(?)警部に腕をつかまれた。
なっ、なんで山に入ろうとすることがバレるの!?
「今は十八時。逢魔が時。
あの山はたびたび夕方に入った登山者が行方不明になることで有名なんです」
もしそれならよけいそうじゃん!
むしろそれが高次元の別世界に繋がってるならむしろウェルカム。
……私は少し、ズルをすることにした。
完全思考操作型CADを起動させ、無系統魔法を送り込む。
展開した魔法式は『夢幻一閃』。
ごめんなさい、貴方はいい人だろうけど、私は本気なの。
対象にしたのは私を掴んでいる手の指の関節。
(……ごめんなさい、関節は超痛いよ?)
心の中でそう呟きながら魔法を行使させる。
「っ⁉」
室伏?警部は痛みにより思わず手を離した。
私は残っている命を振り絞るように走り出す。
目指すはあの山!
私はそう己を奮い立たせて全ての力を足に注ぎ走りだした。
ーーーーー
ーーー
ー
「おっ、お嬢ちゃん、今山は立ち入りき……」
山の管理人だと思われる人が声をかけようとしたところで容赦なく霹靂を打ち込む。
ごめんなさい、私は本気なの。
そして今も流れ続けている魔法エネルギーの在処を探して山を回る。
上へ、上へ、どんどん上に……!
そうして走ることーーー何分だろうか。
もう無我夢中だから覚えていない。
多分三十分ぐらいだろう。
ぱたりとその波がなくなったのだ。
(……嘘でしょ?)
私は見えるわけでもないのに周りをきょろきょろと見渡す。
「もっと奥を探してみるか……」
私はそう思って一歩踏み出した。
「…………え……?」
下が、地面が、ない。
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颯貴 - わかんなかったらもっかい聞いてちょ (2020年12月16日 20時) (レス) id: b9ddb7cad4 (このIDを非表示/違反報告)
颯貴 - すると、ruby:なんとか〜とか出てくるはず。それでおーけー。編集画面には表示されないけど、保存して読者として作品を見るとルビが振られてるよん。 (2020年12月16日 20時) (レス) id: b9ddb7cad4 (このIDを非表示/違反報告)
颯貴 - テキストってとこに、ルビ(読み仮名)を振りたい漢字を入れて、その下だったかな?もう一つの欄にルビを書き込む。すると下にプチ再現が出るから、おkだったら決定なり挿入なりをたっぷ、 (2020年12月16日 19時) (レス) id: b9ddb7cad4 (このIDを非表示/違反報告)
颯貴 - まず、編集画面行くじゃん?そこでさ、本編のすぐ上にいろんなアイコンが横にズラーッて並んでない?地球儀とか工具とか。その工具をたっち。そんで、下にスクロールしたら『ルビ振り』ってあるはずなの。 (2020年12月16日 19時) (レス) id: b9ddb7cad4 (このIDを非表示/違反報告)
颯貴 - あぁ、それは教えたるわ。次のコメントで長々解説すんね。 (2020年12月16日 19時) (レス) id: b9ddb7cad4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:颯貴 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/MizuhasiSatuki/
作成日時:2020年11月29日 13時