56△訂正部分あり ページ13
パチンッ
女の人が、私の頬を殴った。
「さ、佐藤さん!?」
「馬鹿じゃないのっ」
「え?」
女の人の目がかすかに潤んでいると感じたのは私だけだろうか。
「ここにいるじゃない!」
「私だって、貴方が死んだら悲しいもの!
そう簡単に、死にたいだなんていわないで!」
「え……」
それからも女の人はまくし立てた。
途中で連れの男の人が止めたけれど、どうせその女の人は私が将来犯罪者になるのを危惧して言ったことに過ぎない。
最初は少し嬉しかったけれど、何より言っている事が綺麗事すぎる。
そんなことをさらっと言える人間なんて、此岸には存在しない。
「でも、それは私が将来犯罪者になるかもしれない芽を摘み取る為に嘘を言ってるんでしょ。
私が、全てあいつらが悪いって言ったから、将来私が人を殺すかもしれないって」
その言葉にに女の人が黙った。
ほら、やっぱりそうだ。
そんな人間、やっぱりいなーーー。
「違う!!!」
「!?」
「私は犯罪を止めようとする『警察官』の私じゃなくて、『一人の人間として』貴方を心配しているの!」
「だから、あなたを『一人の人間』として思ってるから、貴方を助けたいと思ってる」
「もしそうじゃなかったら、そんな軽々しいこと言わないわよ」
「…………一人の人間として?」
ーーーあとから思ったことが、この女の人の言葉が確かに私の心を揺り動かしたのだろう。
魔法の影響で私はあまり人権を守られたことがなかったが、この女の人は私を一人の人間として、殺人の魔法を使う魔法師ではなく、『ありのままの月ヶ瀬澪』と接してくれていた。
前の世界では、そんなことなかった。
私は、やっとこの人が善意から叱ってくれているということを理解した。
私はなぜこの世界にきたからといってへこたれている?
元気を出せ、私!
なんでさっきからもうあの世界に戻れないと錯覚している?
私が悲劇のヒロインじゃないのなら、悲劇のヒロインになればいい。
「…………ありがとうございました」
私はすっと立ち上がり、ぺこりと女の人に礼をした。
「え?」
「貴方のおかげで、やるべきことが見つかりました。
ありがとうございます」
「???」
連れの男の人は疑問符を浮かばせているが、女の人はにっこりと笑った。
「そう。じゃあ、また会えたらいいわね。
それまで頑張ってね」
「はい」
私が頷くと、女の人はポケットから五千円札を取り出した。
「ホテル代よ。使って頂戴」
「!!!」
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颯貴 - わかんなかったらもっかい聞いてちょ (2020年12月16日 20時) (レス) id: b9ddb7cad4 (このIDを非表示/違反報告)
颯貴 - すると、ruby:なんとか〜とか出てくるはず。それでおーけー。編集画面には表示されないけど、保存して読者として作品を見るとルビが振られてるよん。 (2020年12月16日 20時) (レス) id: b9ddb7cad4 (このIDを非表示/違反報告)
颯貴 - テキストってとこに、ルビ(読み仮名)を振りたい漢字を入れて、その下だったかな?もう一つの欄にルビを書き込む。すると下にプチ再現が出るから、おkだったら決定なり挿入なりをたっぷ、 (2020年12月16日 19時) (レス) id: b9ddb7cad4 (このIDを非表示/違反報告)
颯貴 - まず、編集画面行くじゃん?そこでさ、本編のすぐ上にいろんなアイコンが横にズラーッて並んでない?地球儀とか工具とか。その工具をたっち。そんで、下にスクロールしたら『ルビ振り』ってあるはずなの。 (2020年12月16日 19時) (レス) id: b9ddb7cad4 (このIDを非表示/違反報告)
颯貴 - あぁ、それは教えたるわ。次のコメントで長々解説すんね。 (2020年12月16日 19時) (レス) id: b9ddb7cad4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:颯貴 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/MizuhasiSatuki/
作成日時:2020年11月29日 13時