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妖がゆっくりと起き上がった。
8本の足が崖にかかる度、表面が剥がれ細かな石が川に落ちていく。
「……残念だが」
妖は体を大きく捻った。
水柱が全て振り払われ、掻き消される。
バキャッ
耳につくような嫌な音とともに、清水さんの持つ刀が粉々に砕けた。
刃も塚も鞘も全て。
「……俺も今、手元には無い。こちらに来たときから無かった」
パラパラと溢れ落ちる欠片を眺めながら、清水さんは答えた。
あかねさんのスマホが壊れるところを、間近で見ていた。
けれど、妖の攻撃を直接弾いたあの時とはまた見え方が違う。
本当に、術の反動だけで壊れちゃうんだ。
事情を知らなければ、何もしていないのに突然刀が砕けたように見える。
こんなもの、体に受けたら大怪我するに決まってる。
血だらけになったあかねさんの左腕が思い出された。
「だったら、逃げた方がいいですよ！」
あかねさんは途中から自分の武器を使うことができた。
でも清水さんに、それができる可能性はあるのだろうか。
焦る私に、清水さんは眉を寄せた。
「それは、難しい。妖は人が多くいるところに移動する。今退いたら間違いなく、あそこに向かう」
清水さんの言葉通り、体勢を立て直したらしい妖は谷を揺らしながら出城の方に進み始めた。
「放っておけば、出城ごと食われるだろう」
抑揚のない言葉に、タソガレドキ忍者の雰囲気が張り詰める。
それを一瞥して、清水さんは風呂敷包みから短刀を2振り片手で引き出した。
それらを鞘から抜き様に谷底へ放つ。
手首の力を利かせて投げられた刀は、手裏剣の如く回転し川面を滑って水を巻き上げる。
勢いをそのままに水を纏った短刀は妖の周囲を飛び回り、その動きを阻んだ。
時折黒い影が飛び散る。
妖の表面が削がれているらしい。
「反動のこと、気にしてくれてるんだろ」
短刀を自由自在に動かしながら、清水さんは言った。
その様子を見るのも冷や冷やする。
「……あかねさんの、反動のせいで出来た怪我ってすごく酷かったんです」
「清水さん、自分の武器どこにあるかって分かってないんですよね？」
「そんな危ない状況で戦うって……」
「……勝算はある」
私と伏木蔵の話を聞いた清水さんは、ゆっくりと言葉を口にした。
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kanayamamoto112(プロフ) - 水の術者の67話どのようなお話なのか凄く楽しみです。水の術者主人公君の武器は見つかったのか気になります。 (7月1日 10時) (
レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 水の術者主人公君と火の術者ヒロインちゃんの合流楽しみです。次は2人のうちどちらが登場するのか楽しみです。 (7月1日 9時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 待ってました。水の術者主人公君とタソガレドキの押都長烈さんの心理戦楽しみです。続き楽しみです。 (7月1日 1時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 続き楽しみです。 (6月30日 16時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 凄く面白いですし展開が楽しみでドキドキしてます。作者さん体調には気をつけてください。 (2023年2月5日 23時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノート角 | 作成日時：2019年11月19日 15時
