85 ページ36
でも今の言葉もちょっと気になる。
嘘とかお世辞とか、勿論話さなきゃいけない場面があるのは分かるけど。
成長したら、それが仕方ないっていうくらい当たり前になるのかな。
「君たち、忍たまってこと隠してたんだ。……悪いことしたね」
雑渡さんの言葉に私たちは首を横に振った。
「清水さんのお話だと、雑渡さんたちと会う前から気づいてたみたいですし」
「いつから分かってたんですかあ?」
伏木蔵が尋ねる。
「疑問を持ったのは、看板近くで手拭いを渡した頃だ」
「すんごい最初の方……」
会ってすぐと言っても間違いじゃないくらい。
「山奥で迷子になったという割に、落ち着いていると思ってな。2人くらいの年の男子なら、もう少し動揺するものだと」
色々巻き込まれて迷子になるとかしょっちゅうだったから、もう慣れていた。
忍たま三年生には、迷子が当たり前って人もいるし。
「その段階では、肝の据わった子どもくらいにしか思ってなかったんだが」
そこからどうやって忍者の卵に繋がったんだろう。
「ここに来るまでに何度か、崖から落ちかけただろう」
「はい」
「一度、荷物を全てばら蒔いて、3人で拾い集めたことがあったよな」
あった。
道の上だけじゃなくて崖下にまで荷物が落ちちゃって。
幸い途中の岩に引っ掛かってくれたけど。
清水さんが岩を伝って取りに行ってくれたっけ。
「その時に、猪名寺くんの持っていた本の表紙に大きく、“にんたまの友”と書かれているのを見た。ーーそれで、2人の行動を思い返して」
確信を持った、と清水さんは言った。
私と伏木蔵は思わず頭を抱える。
そこ!? そんなとこから!?
ああでも、この一刻。
本当に酷い不運だらけだったから、荷物に構っていられないときはあった。
それも含めて不運なのかな……。
「表紙変えた方がいいんじゃない?」
「お約束なので……」
「じゃあ仕方ないね」
「え、仕方ないんですか」
突っ込む諸泉さんに、お約束は大事だよと雑渡さんは返した。
「忍術学園と、タソガレドキ城は親しいんですか?」
「敵の敵は味方ってやつかな」
「……そうですか」
「ああそれと、子どもは可能性の塊だからね。気にかけない方が不思議じゃない?」
清水さんは雑渡さんの答えに目を細めた。
「……忍術学園には度々、天女が下りてくるという話を伺いましたが」
心臓が跳ねる。
清水さんの口からその話が出るとは思わなかった。
127人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kanayamamoto112(プロフ) - 水の術者の67話どのようなお話なのか凄く楽しみです。水の術者主人公君の武器は見つかったのか気になります。 (7月1日 10時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 水の術者主人公君と火の術者ヒロインちゃんの合流楽しみです。次は2人のうちどちらが登場するのか楽しみです。 (7月1日 9時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 待ってました。水の術者主人公君とタソガレドキの押都長烈さんの心理戦楽しみです。続き楽しみです。 (7月1日 1時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 続き楽しみです。 (6月30日 16時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 凄く面白いですし展開が楽しみでドキドキしてます。作者さん体調には気をつけてください。 (2023年2月5日 23時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ノート角 | 作成日時:2019年11月19日 15時