雨がやむまでに［オリジナル］ (ページ8)

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「違う！そうじゃなくってこう！」
「こ、こう？」
「違う！」

地獄だ・・・。
練習を開始したのは良いものの、私は私の運動神経の悪さをなめていたらしい。

「レシーブはこうやるの！」

語彙力というものはないが、自身の体を使って教えてくれ、有難いのだか・・・私には不可能だった。

レシーブを私が打つと、すっごい飛んで隣のバスケのところに行く。
サーブを打つと、ネットまとめて飛んで行った。
結怒さんにいろんな意味で褒められたのだが、全く嬉しくなかった。

キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン

よ、予鈴だ・・・。

結果、私達のチームは練習だけで終わってしまった。

「ごめんなさい、練習だけしかできなくって」

更衣室で、結怒さんに謝った。

「へ？べっつにいーよ！あたしもなんかやりがいあったしー」

ニコニコ笑顔の結怒さん。

「あ、そうだ。氷哀さんもあたしのこと明香って呼んでよ！なんか苗字だとぎこちなくって。あたしも玲って呼ぶからさ！」

ずいっと顔をちかづけられて、一歩後ずさった。

「うん・・・あ、明香？」
「にひひ～改めてよろしくね、玲！！」

「・・・私、友達出来たかも」

誰もいない屋上でぽつりと呟いた。
今はお昼休み。
奏那が作ってくれたお弁当はとても美味しい。
今度教えてもらお。
黙々と食べ進めていく。

「氷哀さん」
「楽雷くん？」

どうやら屋上にお客さんが来たみたいだ。
楽雷くんは、私の隣に座ると、美味しそうなお弁当を開けた。

「美味しそう・・・」
「だろ？俺のねぇちゃんが作ってくれたんだ。世界一美味しい」
「なんの。こっちの奏那特製弁当も世界一美味しいぞ」
「もう中身ないじゃん」

もうからに近い私のお弁当箱を見て笑う楽雷くん。
なんだか人気なのがよくわかるような気がして来た。
少し、楽雷くんと雑談してると、アナウンスがなった。

『楽雷会長、至急生徒会室へ』

「あ、俺いかなかゃ。また、“玲”」
「へっ・・・な、名前」

焦る私を見て少し笑った彼は生徒会室へ走って行った。

そっと顔を触ると、少しあったかかった。