十七話 ページ17
・
あぁ…あと十分…！
間に合え！！
今さらだが、図書室に行った自分を恨む。
あのあと、ジェイドに対して感じた変な気持ちに心を落ち着かせるのに、大分時間がかかり、さらに寮服に着替えなければならない。
あっという間に、パーティー開始まで十分だ。
『間に合ってくれよ……！！』
ーーーーー
ーーー
ー
俺がパーティ会場に着いたのは、パーティが始まる五分前。
ふーっと息を吐き、胸を撫で下ろす。と、少し遠くの方で、タルトを２つも持ったトレイ先輩を見付けた。
近寄って、声をかける。
『片方、持ちますよ？』
ニコッと笑ってそう言った。
トレイ「ん？いいのか？ありがとな。助かるよ。」
俺がタルトを持つと、空いた方の手で俺の頭を撫でた。
『ふふっ、また手伝いますよ。』
タルトの甘い香りと、トレイ先輩の上手な撫で方で、気分がいい。
指定された位置にタルトを置く。狐色のタルト生地に、赤い苺がよく目立つ、美味しそうなタルトだ。
そのあとも、ティーカップを置いたり、テーブルクロスを敷いたり、テーブルを拭いたりと、忙しく動いた。
あぁ、こんなに仕事があるなら図書館なんか行かなきゃよかった。また、図書館に行った自分を恨んだ。
だが、不思議とジェイドにされたことは、
『嫌……ではなかった……かな…』
あれ、俺はこんなことを思うようなヤツだったか？
ダメだ、ダメだ。こんなことを思うようなヤツじゃダメだ。
大丈夫、自分を隠すのは慣れてるだろ。
昔から、王属のヤツらとしか会ってこなかったし、年相応に笑って遊ぶことはない。絵本のような
昔から、子供らしくない子供だった。
やったことと言えば、正しい礼儀作法や、言葉遣い、身だしなみの勉強。ユニーク魔法の特訓、剣術や馬術など、当然小学生にも満たない子供がやることではないこと。
俺は別に家族が嫌いではない。大好きだ。
ただ、優しくされるのが苦手だった。
家柄が、王位継承権を持つ俺の家柄が嫌いだった。
自由に遊べる子たちが、羨ましくて仕方なかった。
でも、それは言ってしまえば、今までの俺が積み上げてきたものを、俺自身で否定することになってしまう。
だから、この気持ちを抑えて、十六年間生きてきた。
今さら、自分を隠せない訳がない。
大丈夫。大丈夫。
…ポタリ
俺のマジカルペンが、ブロットでくすんできていることにも、俺は気づかなかった。
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ナオ - え、待って、尊い。ありがとうございました！めちゃめちゃよかったです！ラギーくん、可愛い！そして、我氏、男主くん推しになりそう…これからも更新楽しみにしております故、頑張ってください！ (2021年5月15日 0時) (
レス) id: 9410ab3aed (このIDを非表示/違反報告)
ナオ - え、オバブロ？男主くんオバブロしちゃう？ 一気読みして、なんだこの神作は…！と思いました！できればラギーくんとの絡みがみたい……これからも頑張ってください！ (2021年5月10日 15時) (レス) id: 9410ab3aed (このIDを非表示/違反報告)
水の飴 - とんでもない神作に出会ってしまった、、、 (2021年5月9日 5時) (レス) id: 4e0d7a65ba (このIDを非表示/違反報告)
むしば(プロフ) - 続きめちゃくちゃ気になります！！頑張ってください(*´∀`)♪ (2021年5月4日 1時) (レス) id: a099461a17 (このIDを非表示/違反報告)
うさ(プロフ) - 面白かったです！更新頑張ってください！ (2021年5月2日 21時) (レス) id: b72b4d2a41 (このIDを非表示/違反報告)
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