板挟み ページ7
＿＿＿＿＿
「一星、大丈夫？」
「何がですか？」
気が付いたら、当たり障りのない言葉をかけていた。
一星は全く心当たりがないとでも言うように、珍しく紫音の方を向いている。
「あ……弟のこととか。」
「さっきも言いましたよね。ちゃんと入院してるんです。紫音さんには関係ありませんから、放っておいてください。」
二度も同じことを言わせてしまったのは申し訳ないが、突き放すような言い方に紫音もムッとした。
「関係なくはないでしょ。君にも一星光にも、会ったことあるんだし。」
「俺には会った覚えはありません。……それに、事故の話を何度も持ち出さないでください。」
「それは悪かったけど……じゃあ一星、君はこのまま１人で何とかするって……オリオンに従うって言うの？」
「そうですよ。俺が何とかしないといけないんです。俺が弱気になってたら……光が、」
何とかすると強がりながら、威勢を失い、一星の語気が若干弱々しくなっていた。
きっと紫音が思っている以上に、一星は追い詰められているのだろう。
イナズマジャパンとオリオンの板挟みになり、どちらにも動けなくなっている。
「ねえ、私に出来ることはないの？」
「じゃあ試合で負けてください。そうしたら俺は役目を果たせます。」
そう言った一星の顔は苦しそうに歪んでいて、きっと本心なんだと見て取れる。
しかし、やはりその要望には答えられない。
「それは無理。」
あくまで自己犠牲はしない紫音に、一星は呆れたように溜息をついた。
「はぁ、聞いておいて、いざ言ったら拒否するんですね。」
「日本が負けるのと、一星光を救えるのとで関係があると思えないから。」
「だったら勘違いですよ。俺は光のために行動します。それにはオリオンが必要不可欠なんですよ……。」
お金の問題か、とは聞けなかった。
聞かずとも確信がもてたからだ。
一星と同じ時期に、紫音も家族を失い、絶体絶命の金銭危機にぶつかった。
しかし紫音は一人っ子だったのと、両親がそれなりにお金を稼いでいたのもあって、何とか首の皮一枚繋がった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ツナ(プロフ) - ルカ☆さん» (続き)台本書きは控えています。一章は名前を入れていましたが納得いかず、今手直しをしているところです。ともあれ、読みづらい思いをさせてしまってすみません。表現を変えたり口調をハッキリさせたりと工夫はしていくつもりです。ご希望に添えなくてごめんなさい。 (2020年11月28日 1時) (
レス) id: 6ab8a556b3 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - ルカ☆さん» 返信遅れてごめんなさい、ご意見ありがとうございます！台本書きのことでしょうか？これは私事ですが、作品を作り始めた理由の１つに文章の練習という目的があります。台本書きにするとやはり書くのが簡単になってしまい、より一般の小説に近付けるために(続きます) (2020年11月28日 1時) (レス) id: 6ab8a556b3 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ☆(プロフ) - ツナさんコメント失礼します出来たらでいいんですけどキャラが喋る時の最初にキャラの名前をつけて欲しいんです少しだけ読みづらいので出来たらお願いします。これからも更新頑張ってください良ければ私の作品も見ていただけると嬉しいです (2020年11月13日 7時) (レス) id: 3f28176c24 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - わたぐもさん» 温かいコメントありがとうございます！更新頻度が落ちてしまって本当に本当にすみません...。文章は全然練習中なのですが、褒めていただいて嬉しいです！ (2020年10月18日 16時) (レス) id: 6ab8a556b3 (このIDを非表示/違反報告)
わたぐも(プロフ) - この小説の更新きてるとすっごく嬉しくなります！ツナさんの文章、すきです(*´-`*) (2020年10月18日 0時) (レス) id: 08072a37d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ツナ | 作成日時：2020年8月31日 20時
