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音楽でサッカーに ページ36

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身構えていたウズベキスタンのGKアレクは堂々と必殺技のモーションに入る。

ぐるぐると渦巻く鍵盤が現れると、両腕を伸ばし、ピアノの上級者がよくやるようなグリッサンドを響かせる。


「え………ピアノ……?」


紫音は怪訝そうな、険しい表情になり、声は心做しか掠れていた。

そんなこともお構い無しにアレクは ジャーンと1回強く鍵盤を押す。

キーパー技『忘却のソナタ』だ。

網のように五線譜が密集し、紫音の必殺シュートを押さえ込んだ。

FFIが開幕して、試合で紫音のシュートが止められたのは初めてだった。

しかし彼女が気に留めていたのは "ただの失点" なんかじゃない。


「(音楽でサッカーに負けた…。あんな雑な演奏の奴に…!?)」


今回のは紫音もアレクも、"音楽の必殺技" で "サッカー" を戦っていた。

紫音は今となっては専門的に音楽をやっている訳では無いし、シュートを1本止められただけなのだが…。

幼い頃の特技であったピアノで負けたのがやるせなかった。


「大したことないメロディだな。」


振り向くと、両手でボールを持ったアレク。


「ただ鍵盤を叩くように弾いてた君には言われたくない。」

「フッ、お前はピアニストか?サッカー選手じゃなく。」

「サッカー選手だけど!?もう今となってはピアノ弾けないんだからねぇ…。」

「止められた腹癒せか。元音楽家がやることでも、サッカー選手がやることでもないな。」

「うるさい!別に八つ当たりしたいんじゃないから。」


他人にしては少し自分のことを話し過ぎたか、と紫音は立ち去ってから気付いた。


「(もう、音楽は諦めたでしょ…。今になって一喜一憂するなんて、変だ。)」









「あれ、大丈夫ですか?紫音ちゃん、相手のキーパーと揉めてるみたいですよ!」

「姫野さんが怒ってるようにも見えますが…。」


ベンチでは、シュートを止められた後の紫音の行動が話題に上がっていた。

助けを求めるように(頼り甲斐の無い)監督に申し出ているのはマネージャーの大谷と神門だ。


「ほーっほほほ!姫野さんが理由もなく相手に突っかかるなんてことありませんよ。」

「だったら、どんな理由があるんですか?」

「ピアノさ。」

「吹雪君?えっと…紫音ちゃんはピアノが原因で怒ってるってこと?」

「恐らくね…。僕も詳しくは紫音ちゃんに教えて貰えなかったから。」

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ツナ(プロフ) - 怪盗あーるさん» わぁ、ありがとうございます!最近リアルでやらなきゃいけない事が溜まってるんですけど、更新途絶えないよう頑張ります(笑) (4月27日 0時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗あーる - いつも更新を楽しみにしています。これからも応援しています! (4月26日 21時) (レス) id: 6e9264e8f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ツナ | 作成日時:2020年4月7日 18時

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